山背が吹いているのだろうか

みちのくの賢治がオロオロした

あの山背が・・・

冷たく湿った北東風は雲や霧を発生させる

太陽を隠してしまう雲は気温を上げることを妨げると

米作りの人々を絶望の淵に落とし込む。

飢餓を呼ぶ風にならなければよいが・・・

仕事が一段落して街にでてみた

まるで軽井沢の高原にいるような涼やかな風が吹いている

この膨大なエネルギーを吐き出し続ける大都会が

たとえ一時にせよ

汗もかかずに歩けるのはあの山背のお陰だとしたら、

農業と全く縁の無くなった街の人々は

「凌ぎやすくていいですね」

と挨拶を交わしている。

時代が百年以上も遡ってしまった屋敷の中で

ぼんやりと本を読む。

あの大財閥が造り出した洋館にはクーラーは無い。

開け放たれた窓から流れ込む風は

真夏の都会に吹く風とはとても思えないほどの清々しさ、

こんな涼やかな日がずーっと続いて欲しい

などという贅沢は言うまい。

たった一日いや一時でもいい、クーラーから開放された

やさしい風に吹かれるなら。

(岩崎邸にて)