浅草夢屋01

「来るぞ!来るぞ!」

と言って嘘をつく少年のことが「オオカミ少年」

というイソップ寓話に出てくるのですが、

気象庁の予想は

「来るぞ!来るぞ!」

といって台風が来なかったら、

この国では可愛い少年の嘘だったかなどと

許してはもらえないでしょうね。

予報に限らず、それこそ鬼の首でも取ったように

大騒ぎするのが最近のこの国の風潮、

みんなで監視して、文句の対象を見つけ出すことに

喜びを感じているようで何だか薄気味悪いことですな。

浅草夢屋02

そういえば嵐が来るかもしれないというのは、

昔はどうやって感じていたのでしょうかね。

生ぬるい風が大粒の雨を伴って吹きはじめると

「おい、嵐が来るぞ! 戸締り確りしときな」

なんてみんなで感じたのでしょうね、

もし、その予想が外れたら

「良かったじゃねーか、嵐が来なくてよ」

って喜ぶのが昔の人の考え方。

浅草夢屋03

「売れると思ってこんなに○○を仕入れち

 まって、嵐が来なくてどうしてくれるんだ!」

って怒りまくるのが現代の金儲けの上手い人達の考え方。

雷様はどう裁いてくださうるのかと雷門を眺めれば

あのデカイ提灯がチジメラレテいつ嵐が来ても大丈夫なように

用意万端整えられておりましてね。

「こりゃ、やっぱり嵐は来るぞ」

とカンネンするのでありますよ。

dc071530

ザーッ! と降り出したから

「いよいよ来たか」

と身構えると、あっという間に止んじまって、

たたんだ傘が邪魔になるほどの天気に、

「どうなってるんだい」

と気が付けば、やっぱりアタシもブツブツ文句を

垂れておりましたっけ。

浅草夢屋05

浅草は365日歩き廻ったって、飽きるってことがない町、

こんな嵐のやってくる日は、おとなしく浅草に居ついている

に限りますよ。

馴染みの店のマスターは生粋の浅草っ子、

なのに、無口で黙々と仕事する性質(たち)、

開店から通い続けていてマスターの声を聞いたのは

いつも

「ありがとうございます」

の一言だけ

浅草夢屋06

変わらないのは挨拶の言葉だけでなく、

インドを放浪していたときに覚えた

飛び切り美味いカレーの味、

「いつものね」

と注文すると

ベジタブルカレーのやや辛にサラダが出てくるんです。

「美味かったよ」

と言うと

いつもの

「ありがとうございます」

「そういえば女将さんの背中寝ていたあの子は

 いくつになったっけ」と尋ねると、

「無事成人式を終えました」

「もうそんなに大きくなったんだ」

マスターの店の名は 『夢屋』、

爺になるまで続くといいな・・・

浅草 カレー夢屋にて

浅草夢屋04