湯島の町の祭りが始まった、

だからと言って、急に入れ込んだり、『祭り命』みたいな

鼻息荒い人も居ないわけではありませんが、

全体におっとりしたところがこの町の祭りでしてね、

「それじゃ、そろそろ始めるか」

みたいな空気が流れる湯島の町が、年老いた祭り好きには

案外居心地がいいものなのですよ。

(神幸祭の行列)

あのまなじり決して神輿に飛びつく浅草からやってくると、

なおさらそのゆったりした空気が初夏の緑とあいまって

「こういう祭りを大人の祭りというものかな」

なんてひとりごと呟きながら、

湯島天満宮の男坂(いつもは女坂をよたよた登るのですよ)を

一気に駆け上がってみたら、すんなりと登れてしまいました、

どうやら毎日テクテク歩いている効果が出てきたようです、

これも大好きな天神様のご加護かもしれませんですよ

しばし本殿前で深呼吸、まずはお参りを済ませて、

さてと本日は神幸祭ですので鳳輦、本社神輿ともすでに

氏子25ケ町へお出かけした後でございます。

(木遣りの唄声とともに御鳳輦と宮神輿の御帰り)

神幸祭は、神様のお乗りになられた鳳輦と本社神輿が細い路地から

坂道昇り降りしながら、満遍なく町内を巡っていただけるのです、

それはそれはありがたいことなのでございます。

しかし、いざその御一行(総勢百人を超す行列)をお探しするとなると

あっちの路地を覗き、こっちの坂道駆け上り、やっとその後ろ姿を

お見かけした頃には、足はもつれ、息はぜいぜい、

やっぱり祭りとはくたびれるものかな・・・

それでも、ご一行様の後ろを付いて歩けばなにやら後光が眩しい

神幸祭、ありがたや ありがたや。

(宮神輿)

これだけは見逃すまいと願っていた、鳶の頭による木遣りに先導されて

鳳輦、本社神輿が戻られてまいります。

「よ~お~ん~やりよ~お~」

ああ、今年もこの木遣りを聞くことが出来ましたよ。

浅草三社様の宮入りとは全く趣が異なります、いたって静かな

宮入でございます。

町内を練り歩いた鳳輦、本社神輿とも台車から人の手に移り

静々と御帰社されました。

本殿横の広場で宮入神事が雅楽の鳴り響く中、厳かに執り行われ、

宮司様の祝詞奏上にて無事完了いたしました。

こういう静かな宮入りもいいものですね。

まだまだ終わったわけではありませんよ、

担ぎ棒を短いものに入れ替えて、鳳輦、本社神輿を所定の場所に据えるのに

これがまたひと騒動、

「もう少し右だ、右」

「あと、20cm奥だ」

(三組町内神輿渡御)

こうして、無事御神幸祭はつつがなく終わることができました、

みなさま、お疲れ様でございました。

朝から夕方まで一日中好天の町内を歩き回ったそれぞれの顔は、

すっかり日焼けしてみんな少年の頃の顔にもどったようでしたね。

さて町内の神輿渡御に場所を変えさせて

いただきました。

今回は三組町会の神輿渡御に密着、

町会長さんの、

「粋に担ぎましょう」の音頭で上がった神輿が

夕暮れの陽ざしに キラリ! と輝いておりましたよ。

(奉納神楽「八幡山」 松本源之助社中

さて、再び坂道駆け下りて、天神下の御町内を一巡り、

本日何度か目の男坂の急階段を駆け上り、境内に戻ると

舞殿では松本源之助社中による奉納里神楽が演じられておりましたので

じっくりと鑑賞、先日の下谷神社の里神楽とはまたひとつ笑いの味が

別立てで、すっかり和んでしまいました。

ところが終わりまで見届けない内に、三組町内神輿が

やってまいりましてね、

今回の江戸里神楽の題目をお聞きする前に神輿振りに

「ソレッ!ソレッ!」

掛け声でお出迎え

(三組町内神輿 宮入り)

さてと、アタシも行きつけの店でちょいといっぱい引っかけて

まいりますか。

「白玉ぜんざいにお抹茶ネ」

うん、ナンデスカ、その目は

「おじさんが祭りの後で白玉ぜんざいかよ」

って顔してるじゃないですかね、

祭りに酒はつき物ですがね、下戸はぜんざいですよ、

注文するのは簡単そうですが、周りで呑んでる連中の中で

声に出して頼むのも中々勇気がいるんですよ、

あなた、やってごらんなしよ、「白玉ぜんざいいっちょ」ってね。

どうやら、ぜんざいとお抹茶で酔っ払っちまったのですかね、

いえいえ、祭り酔ったからでご勘弁を。

祭りはいいですね、老若男女、酔っ払いも、下戸のオヤジも

みんな一緒に幸せな気分になれるのですからね、

それにしても、湯島は疲れますな、

坂道が多すぎますものね、

まだまだ下町の祭りはこれからもつづくのでありましてね、

これから、マッサージのおばちゃんに身体を揉み解してもらって

次に供えるといたしますか・・・

ねっ、祭りは元気でいられる健康の素なのでございます。