毎日がお祭りみたいな浅草も二月は比較的静かな

ものでして、おまけに冷たい雨の夕暮れとなれば

うら寂しい気分になるのですよ。

「雨が降ろうが、風が吹こうが観音様のお参りだけは

 欠かさないのが浅草っ子の身についた仕来りですよ」

降ったり止んだりとはっきりしない空の様子を見極めながら

いつもの浅草散歩でございます。

あの華やかな正月飾りも立春を迎えたところで

綺麗に片付けられてみると、

なんだか隙間風が吹き込んできそうで

それでなくても冷たい二月に、拍車がかかっている

みたいじゃありませんかね、

それでも日本の経済が急激に円安へ振れてきた

おかげでしょうかね、

あの地震以来遠ざかっていた外人さんたちの姿が

すっかり戻ってきたようですね、

観光なんてものは経済の良し悪しでどうにでも変わる

ものなんですな。

仲見世冷やかしながら本堂へ向かうと、

歩きながらモノを食べる一団、

店の前には貼紙が

「歩きながら食べないで下さい」なんて書いてあるんですよ、

それなら売らなきゃいいだろうに、それでも浅草は商売の町

さてイタチゴッコはどうなることやら。

アタシ等は子供の頃から、食べ物はきちんと座って

食べるもの と躾けられておりましたから、

あの食べ歩きってヤツはどーも違和感がありましてね、

何時からでしょうかあの歩きながらモノを食べる習慣が

できたのは・・・

あれは、ハンバーガーなんて食べ物が日本に入ってきてから

じゃなかったですかね、

確かに片手で持って歩きながらでも食べられますよ、

でも、日本人にはおにぎり という同じような片手で

食べられるものがあっても歩きながらは食べませんでしたよね、

きっと若い世代が、西洋の食文化はかっこいいなんて

軽く受け入れたことがキッカケじゃないですかね、

今じゃ、いい歳したおじさん達まで平気で歩きながら

食べることに何の抵抗もないのですから何をかいわんやですよ。

その姿で仁王様の前へ行ってごらんなさいよ、

「この大馬鹿者!」

って怒鳴られますよ。

やれやれ、小言爺になれ果てた爺散歩も寒さを忘れるほど

気合が入ってしまいましたな。

連日雨にたたられると、小言でも言わんと寒さに負けそうですよ、

心を落ち着けて深呼吸ひとつ、静かに手を合わせれば、

今日の雨の宵のように静かに落ち着きが整ってまいりますよ、

観音様はありがいですね。

たそがれ、薄闇、そっと歩き出せば、

「静かな浅草もいいもんじゃないかね」

なんて、先ほどの口をとんがらせていた気分はきれいさっぱり

消し去って、前を行く若者に気が向いてね、

こんな寒い日は仲良く寄り添って歩くが一番さ

とつぶやくのでございます。

さてと、お汁粉にするか、おでんにするか、

そこが思案の浅草散歩でござい。