2012年02月06日(月)
雨の日に聞く話
いつもならホロホロと梅の花の咲く時分、
こんなに冷たい雨に
「なんで梅の花にそんなに辛くあたるんだよ」
などと口を尖がらせて抗議しただろうに、
梅の花の一輪も咲かない日の冷たい雨は、
避けることなく人間に降りかかるのでありますよ。
その冷たい雨の中を歩き始めてしまったのは
これを日課というのでしょうかね、
そういえば初午をついやり過ごしてしまったことが
やけに気にかかりましてね、
もやもやしたまま日を過ごすのも何だか気分がよくないですよ、
思い立ったたら命がけ なんて大袈裟な気分じゃありませんが、
手を合わせるくらいのことはやってしまわないとね、
そういう決断(こういう言い回しを大袈裟というのですよ)を
実行するには、雨の日というのは相応しい気がするのですよ。
お稲荷様というのは何処にでもありますから、
支店だろうが出張所だろうが手を合わせるには
不自由しないところがいいですな、
五穀豊穣、商売繁盛、そして復興祈願をお願いして
ひょいと見ればお狐様もずぶ濡れでございますよ。
思い出したのはいつぞや読んだ日本霊異記の狐を妻にした男の話、
昔、欽明天皇の御代、美濃国大野郡の男が嫁を探していると
広野でひとりの美女に出会った、
美女はやけに馴れ馴れしいそぶりに、男は目配せをして
「娘さん何処へ行くのか」と尋ねると
「お婿さんを探しているの」
意気投合して二人は夫婦となり子供も生まれた。
この男の家には犬がおり、その犬が女房に噛みつかんばかり
吠えついた、
女房は犬に追われて逃げるうちに、とうとう狐の姿に戻って
しまった。
男は驚いて
「お前と私の間には子供まであるではないか。私はお前を忘れない。
いつでもやって来い、いっしょに寝よう」
来つ寝、きつね、キツネと叫んだことから「きつね」という言葉が
出来たのだという。
あるとき妻が紅の襴染の裳を着てやって来て、どこへともなく去っていった。
夫は去り行く妻を恋いて歌った。
恋は皆我が上に落ちぬたまかぎるはろかに見えて去にし子ゆゑに
いいですね、アタシはこの話が大好きでしてね、こういう話は
冷たい雨の日に聞くと、なんとなく心がぽかぽかしてくるでしょ、
最近巷ではやるもの、
相手の弱みに付け込んでとことん食いつく女代議士 とか、
わが子を食い殺す 獣も避けて通る女 とか
狐の足元にひれ伏して欲しいものですな。
そういえば、狐はたいてい美女に化けるのが得意なんでありますが、
最近の目の釣りあがった女性を見てたら今度は男に化けるかも
しれませんですな。
そうそう、狐に化かされたくない方にひとつだけ教えて差し上げましょう。
闇夜の道ですれ違った女の着物の柄がはっきり見えた時は
間違いなく女狐ですから気をつけなさいましよ。
ほらあなた
「ああ、アタシだって化かされてみたい」
なんて想うでしょ、男はいつだって騙されることが大好きなんですから。
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