旅の途中

イブ

ちょっと前までは、クリスマス・イヴになると、

ティファニーの店には行列ができ、

贈り物を買った若者は、BMWを颯爽と運転して彼女を

迎えにいく、

何ヶ月も前から予約したフレンチ・レストランで

二人だけのイヴを過ごすなんていう、

今考えれば馬鹿げたことの代表みたいなことに

うつつを抜かす連中がゴマンとおりましたよ。

ありゃ一種の脅迫観念に突き動かされた行動だったのでしょうね。

「乗り遅れてたまるか」

なんていう気にさせられた若者達は実は

商業主義の一番の犠牲者だったのですよ。

「それじゃ、オヤジさん達は健全だったか」

ですって、

それを言われるとチト胸を張れないのですがね。

アタシ等の若い頃のイヴ

(その頃だってちゃんとイヴをやってましたよ)

その日だけはおおやけに酒が飲める日だと勘違いした連中が

頭に紙の三角帽子を被り、キラキラのレイなんか首から提げて

銀座の裏道を大声あげて騒いでいたんですから、まあ、たいして

変わりはしませんでしたけどね。

そういえば、どの店に入っても、

「本日はクリスマス料金」なんていう貼り紙が

ベタベタ貼ってありましてね、

普段と同じ酒を頼んでるのに、料金は二倍、三倍と

つりあがるという按配、

「そんなことは気にしちゃイねー」

と押すな押すなの大盛況、

前だけしか見ていない連中は、今が楽しければいいじゃないか

と時には乱痴気騒ぎ、それが日本のクリスマス・イヴだったのですから、

今の若者を批判なんか出来るわきゃありませんがね。

ここ数年は、健全(何が健全かはわかりませんが)な若者が

増えましてね、

無駄なお金は使わない、

親しい友達と家で静に過ごす、

家族のいる若い父親は真っ直ぐ帰宅、

手に小さなケーキの入った箱を持ってね。

大昔、三角帽を被って千鳥足だった若者も、

いつのまにか老人グループの仲間入り、

昔を思い出して街に出てみれば、

仕事帰りの若者も、おじさんも駅に向かってまっしぐら、

帰れないのは、奥方からは邪魔者扱い、

家に主の居場所などない哀しさを

この日だけは感じないでいたいという

切ない老人だけが街を歩くので

ありますよ。

嗚呼!、老人大国の成れの果てとは・・・

ガランとしたレストランで、特別料金もなく

平常とかわらぬメニューを指差し、

「量は少なめにしてください」

と健康を気遣い、

話す相手もなくひとりぼそぼそと食事を口に運ぶ、

こんなクリスマス・イヴに誰がしたんや、

と叫びたい衝動を抑えている。

何処かで懐かしいクリスマス・ソング、

思わず涙ぐんでいたイヴの宵でございます。

Categories: 日々

クリスマス » « 社会鍋

2 Comments

  1. いやあ! 本当だねえ! 昔は特別の日だったけどねえ~ 昨日のイブのよるごはんは
    一人で,あじのひらきで、一杯やりました。 

    • 旅人 散人

      2017年12月27日 — 12:04 AM

      社長殿
      若いころ散々楽しんだから、人生ちゃんと帳尻が合うようにできているのかもね、まあ、それでも寝たきりにならないだけ良しとしようじゃないかね。

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