昨年が四年に一度の本祭りで、大神輿が氏子町内を渡御、

大いに盛り上がりを見せていただきましたが、今年は

陰祭り、中神輿が本殿前に引き出されておりますよ。

実は陰祭りはいきり立つ若者の姿も少なく、町内の御老人方が

静かに見守っている中で、まるで昔の鎮守のお祭りの

雰囲気が醸し出されており、この雰囲気がたまらず好きなんですよ。

婆ちゃんが曾孫に手を引かれてお参りやってきます、

「婆ちゃんな、もうこの階段上れんように

  なってしもうた、お前が代わりにお参りしておくれ」

小さながま口から小銭を出すと、曾孫にわたして

「そこにお賽銭を入れて手を合わせるんじゃよ」

曾孫は可愛い小さな手を合わせてピョコンと

頭を下げた。

「婆ちゃんこれでいいか」

「ああ、ありがとよ、ありがとよ」

また曾孫に手を引かれて来た道をゆっくりと戻って

いくのでした。

ここ綾瀬はかつては普賢寺村と呼ばれておりましてね、

その普賢寺村の鎮守様であった北野神社の祭礼は

まるで昔の普賢寺村に戻ってしまったようです。

爺ちゃんの見つめる先には、少し小ぶりの神輿が

宵宮の宮出しを待っています。

本殿での氏子総代のお祓いと祭礼式が滞りなく終了すると

いよいよ神輿宮出しです。

一本締めで神輿が上がった、

担ぎ手は少なめですが、気合だけは若者に負けじと

オジサン担ぎ手が声を張り上げる、

「ソウレ ソウレ!」

境内を一周半すると鳥居をくぐり町内渡御へと

宮出しです。

北野神社 はやし連の笛太鼓に見送られて境内を

出輿すれば、もうそこは下町の飲み屋街、

オヤジさんたちも気合が入りますよ、

飲み屋の主が店の前で神輿を出迎える、

飲み屋の常連オヤジさんも今は神様への奉仕中、

「後で寄るよ・・・」と目で合図を送ると

神輿は横丁を離れていくのでありました。

(2017年秋祭り)