東京の下町っ子にとって桜の名所といえば、そりゃ上野のお山と

相場が決まっておりましてね、

梅の見頃を終えたばかりだといっても、桜狂いが桜を探し始めるのが

ちょうど今頃なんですよ、

「えっ、いくらなんでも桜はまだでしょ」

なんておっしゃるのですか、皆さんが桜というと

一斉に花をつける ソメイヨシノ のことを指しているのでしょうね、

いえ、東京にもソメイヨシノの他に、麗しき桜がいくらでもあるのですよ。

(おかめ桜)

あれ、いつの間にかおかめ桜が・・・

つい最近伊豆の山の中まで見に行ってきたばかりですから間違えることは

ありませんですよ、まだ人間に例えればほんの少女くらいの大きさですが

花は見事に咲いておりますな。

実はこの上野の山には、ここで名づけられた桜が四種類ありましてね、

まずは、ソメイヨシノ、オオシマサクラとエドヒガンサクラの雑種で

江戸末期に先日散歩した染井村の植木屋が「吉野桜」として売り出した

のが始めというのはもうご存知だと思いますが、本場吉野の山桜と

紛らわしいというので、明治33年に帝室博物館の藤野寄命博士が

染井村の吉野桜に ソメイヨシノと名づけたのですよ、

(大寒桜)

その命名された標本木はこの上野の山にあったのですよ。

精養軒の辺りらしいのですが、今は現存しておりません。

今は精養軒前にあるソメイヨシノはここ上野公園の基準木で、

上野の山の桜の開花状況をこの木で確認しているのです。

さてと、次は 小松乙女(コマツオトメ)という可憐な名の桜です、

動物園入り口傍に立つ小松宮彰人親王像の前にあるエドヒガンの雑種で、

花が可憐でかわいいことから、小松乙女と名づけられたといいます。

この桜はもう少し後にならないと開花はしませんよ。

さて三つ目は

牧野富太郎先生が明治41年に名づけられたた 寒桜(カンザクラ)、

その古木は博物館の敷地内にあるとのこと、まだ寒さの残る中で

咲くことから寒桜とされたのかもしれませんね。

五条天神の境内にある カンザクラは今が見頃で爛漫と咲いて

いるでしょう。

見物人も少ないので、ゆったりとしたお花見ができる

かもしれません、

(交番横の大寒桜)

最後は、昭和39年に植えられた 大寒桜(オオカンザクラ)、

寒桜に比べると花が大きくてとても華やかにみえます、

上野広小路から公園へ入ってくると、

交番の横に左右二本のオオカンザクラが迎えてくれるでしょう。

今が満開です。

桜はいいですね、中国から来た観光客の皆さんが大興奮して

その桜の下で記念写真を写しています。

もうみんなこれ以上ない笑顔です、

満開の桜の下に立つと、人はみんな笑顔になれるのですよ。

2010年に鎮座1900年祭を終えた東京でも指折りの古社 

五条天神社へ、

ほらね満開ですよ、辛夷の真っ白な花との競演は胸が

すくようですよ。

 サイタ サイタ  

 サクラガ サイタ

 ミンナ エガオニ

  ナリマセウ