駅前再開発の工事が始まった時、江戸時代から

面々と続いてきたこの宿場町もももう終わりを

告げるのかと心配しておりました。

出来上がってみると、確かに駅前はどこの町なのか

個性の無い無表情な顔つきになってしまいましたが、

ひとたび町中に潜りこめば、どうしてどうしてしたたかな

この町の人々は、此処だけは譲らないとばかりに、まるで

蟻の巣の迷路のような路地を残しておりましてね。

それに商店街は相変わらずの活気が充満しているのですよ、

一店、一店の主の主張や生き様が変わらずに残っていることは

現代の東京の町を考えると、奇跡的なことかもしれませんですよ。

随分空き地が増えたな なんて思っているといつしか工事が始まり

でっかいマンションが建つ、新住民といわれる人々が大挙押し寄せて

くると、あたしたちには関係ないと祭りは参加拒否、

それだけならいいのですが

価値観が違うと勝手気ままに生き始めると、町は必ず壊

れ始めるのですね、

そんな町を沢山見てくると、

町とはどんな意味があるのか時々わからなくなってくるんです。

まもなく、千住は秋祭り、

あっちでもこっちでも祭り支度が始まります。

商店街の拡声器からは軽快なお囃子が流れ、

町の彼方此方の掲示板には祭りが近づいていることを

知らせる祭り情報が貼られます。

古くから続く町には、みんなで力を合わせることが

当たり前のように息づいているんです。

「あたしは関係ない」

なんて誰も言いやしませんよ、

毎年、正月が来て、桜が咲くように、

秋になれば祭りを始めるのが

この町で生きるということだからなのですから。

各町内の氷川神社の祭りは9月15日と決まっていたのですが、

やっぱり仕事優先の世の中になれば、神様の都合を少しだけ

譲っていただいて、

今年は9月9日(土)が宵宮、
   9月10日(日)が祭礼

この町に、路地が残り続ける限り、きっと祭りも続いて

いくのでしょうね。

「テケテン テケテケ・ テケテン テケテケ」

拡声器から流れるお囃子に 心なしか歩き方が

せわしくなり始めた宿場町の秋の一日でございます。

今年は祭りも

出来ませんですよ

三年前の祭りを思い出しながら

のんびり散歩でございます。

千住宿場通りにて