「ダーン・ダ・ダンダン!」

東京ドームの場内のライトが消えると

弘前ねぷたの大太鼓がに響き渡った、

大太鼓の音は広いドームの天井に跳ね返ると、

まるで音の洪水のように観る者の全身に

降りかかってくる、

「ダーン・ダ・ダンダン!」

大太鼓に跨る三人の打ち手、

太鼓の下側で叩く仁王立ちの打ち手、

その凄まじい気迫が乗り移った太鼓の音ならば、

睡魔を払うに十分な音声に思われた。

まさに 祭りは生き物 

今を生きる人々の想いが伝統の中にどう係っていくか、

熱気の中で、その祭りの生き様を感じるには

この広いドームで祭りを行う意味があるのではないか

と思えるのですね。

祭りは風土と密接に関係しているのは、その祭りを行う現地へ

赴くことで容易に感じることができるでしょう。

しかし、現代のように情報化時代が当たり前になってくると、

情報だけで祭りを楽しむことが出来るようになってくるのも

また時代の要請かもしれません、

ただ、情報というのは、視覚と聴覚では確認出来ても、

目の前で叩かれる太鼓の音が、空気を震わせて伝わってくる臨場感

は感じることはできないでしょう、

人間の躍動する主因は、その空気が伝えていくことを、祭りの中に

身を置くことで容易に感じられるのです。

だからこそ、

日本中の祭りを訪ね歩く旅を止められないのかもしれませんよ。

武者絵が描かれた扇ねぷたに灯りが点る

「ヤーヤドー」

の掛け声が響く、

ゆっくりと扇ねぷたが動き出す、

やがて扇ねぷたは台の上でゆっくりと回転を始める、

闇の中に浮かび上がった極彩色の武者絵は

悪霊を追い払う力を見せ付ける、

僅か二十分に凝縮された 祭り は

その力を十分に見せ付けてくれましたよ。

こうして、毎日異なる祭りを楽しむために

ドーム通いが続いています。

なーに青森まで行くことを思えば、

わざわざ向こうから来てくれたのですから

嬉しい限りです。

太鼓の音が今も耳の奥で響いています、

「ダーン・ダ・ダンダン!」