青空の下、朝8時に宮出しを無事終えた宮神輿は

広い旧普賢寺村を清めるように渡御が始まりました。

事務所に戻って仕事を続けていると、昼過ぎに

はやし連の太鼓の音が聞こえてきます。

事務所を飛び出して応援に出向きます。

揃いの半纏に鉢巻が神輿とともに揺れ動く様は

なんと気持ちがいいのでしょうか。

町内に神がやってくると感じた古人たちの心が

直に伝わってまいりますね。

しばらく神輿の後ろをはやしながら附いてまいりました

なるほど、身近な祭りというものは親近感が沸くもので

ございますな。

午後になると抜けるような青空、担ぎ手の面々は大汗を

かきながらの渡御が続きます、

巧みな神輿の誘導で細い路地を抜け、大通りを渡り、まさに

氏子町内を万遍無く渡御していくのですから時間はかかりますな。

「あっ!まだ仕事の途中だ」

あわてて事務所に戻り(遠くの祭りではこうはまいりませんね)

残りの仕事を片付けて、再び神輿を探しに出かけます。

夕日の斜めの光が照らし出す中、神輿の一団が戻ってまいりました、

神社の手前で氏子町内神輿渡御は一旦打ち上げ、

残るはいよいよ宮神輿の宮入りでございます。

神輿が鳥居を潜ると、境内は人・人・人・・・

四年に一度の大祭はクライマックスを迎えておりますよ。

境内でのもみ合いは、最期の力をふりしぼって神輿が揺れる、

もう数えられないほど、出たり戻ったりを繰り返した神輿が

ピタリと本殿前に決まったところで柝が入り見事な宮入り、

祭りは随分訪ね歩いておりますが、朝の宮出しから始まり、

氏子町内の渡御、そして宮入りまで克明に見せていただく

ことなど滅多にございません、

祭りは人間が集まって初めてできることなのだと

改めて感じ入っておりました。

毎年必ず行う祭り、二年に一度、四年に一度、

さらに七年に一度、十二年に一度、さらに六十年に一度、

究極は七十二年に一度という祭りを見てまいりましたが

どの祭りを見ても、同じということはありませんでね、

祭りの中に入り込んでいると、帰りには必ず元気という気を

いただいているのです。

こうして、古希を過ぎても元気に旅を続けられるのも、

祭りのお陰かもしれないとつくづく感じる祭り旅の

途中でございます。

2016年 秋 記す。