三日続きの祭り行脚を無事こなしてまいりましたが、

実はこれからが各地で祇園祭が目白押しなのですよ、

この猛暑の中で果たして祭り行脚が出来るかどうかは

ひとえにアタシの体力にかかっているわけで、

休養と栄養と暑さに対する抵抗力を身につけておかないと

途中でバッタリという羽目に陥るのは自明のことなのです。

昨年も、睡眠と栄養と水分補給を心がけて無事夏の暑さを

乗り切ることができましてね、その結果は、薬を服用しても

どうしても落ちなかった血糖値と中性脂肪の値が正常値に

戻ったという有難い結果にもなりましてね、

「どうだい、祭りを追いかけているだけで健康維持が

できるとしたらこれは神様のご加護に違いない」

と、相変わらず自分に都合のいい方へ解釈して本日は、

大汗をかいておくためにその猛暑がニュースになる埼玉県の

昔町 川越へ向かうのであります。

えっ、そのくらい仕事も精出したらよさそうなものだ

とおっしゃるのですか、あーたね、仕事だったら、このくそ暑い中

太陽ぎらぎら照りつける街中を歩いたりしませんよ、

死んじまうじゃないですか、自分の好きなことのためだから、

いろいろ工夫したり、知恵を絞ったりするわけで、一銭の得にもならない

から楽しいのですよ。

「あの、美味しい鰻を食べに行きませんか」

と鬼姫様をお誘いいたしましてね、

「どちらまでですか」

大体、行き先を先に言うと反対されるのはわかっておりますので、

いつもなら、「いいところです」と濁すのですが、

なにしろこの暑さの中を出かけるのですから、あらかじめ用意万端整えて

おかないと、途中で倒れたりいたしますからね。

「川越のいつもの鰻屋さんです」

実は、この店の鰻が、東京のどこの老舗の鰻より美味しいのですよ。

いやいや、埼玉の夏は聞きしに勝る猛暑ですよ、

最近手から離さない温度計は すでに35度ですよ、

いつだったか、熊谷のお祭りに行ったときは、この温度計が43度を

記録していたんですから、気象庁発表の値は信じられませんですよ。

さすがの観光地川越もこの暑さにひっそりとしておりますね。

そりゃそうですよ、特に老人観光客がこの猛暑の中を歩こうものなら

たいていぶっ倒れますよ、

アタシは鬼姫様の用意してくださったアイスノンを首に巻いて

すこぶる爽快でございます。

鬼姫様はもっと賢明で、先に店で待っていますから気のすむまで

散策していらっしゃいと涼しげな顔でビールなどお召し上がりで

ございます。

10分も歩くと、身体中の水分が汗となってほとばしりますよ、

こりゃ、無理だわ、日干しになっちまうと、蔵屋敷に緊急避難、

蔵の中というのは案外涼しいものですな、気温28度ですから、

温度なんてものは比較するから暑かったり、涼しかったり感じる

のですよ、

「そりゃ40度から比べれば、28度は寒いくらいなもんだ!」

自動販売機でポカリナントカという冷えた飲み物をゴクゴクと

飲んで一息つけば、またまた元気が盛り返すのですから

旅とはまさにスポーツ、いや修行のようなものかもしれませんよ。

昔町をひと巡りしてお店に戻れば、あの特別な鰻が待ってくれておりますよ。

土用の丑の日には少し早すぎますが、こう暑くちゃ、先取りしないと

身体が持ちませんのでね、

なに、肥満は大丈夫かですって、

それより、この暑さを凌ぐほうが先決でございます。

すっかり、元気を取り戻して、

「さあ、明日から夏祭りにでかけられますよ」

とニコニコしておりましたら、鬼姫様からきつい一撃、

「いい加減、歳を考えあそばせ!!」

「はい、仕事も一生懸命やりますから・・・」