成田山新勝寺の祭りというのは、

お寺さんなのになぜ、という疑問がありましたが、

御本尊「不動明王」の本地仏である「奥の院大日如来」の祭礼で、

「成田山祇園会」なのですね。

かつては、成田山で管理する湯殿山権現社の祭礼として

行われていたらしく、

享保時代から300年の歴史を持つ盛大な夏祭りでもあるのです。

今も、総踊りが新勝寺境内とJR成田駅脇にある湯殿山権現社の

二箇所で行われるのは、そんな由来を大切にしているからなのですね。

今年は佐原祇園祭と成田祇園祭が重ならなかったのでどちらも

参加することができそうですよ、

なにしろどちらも縁のある地であるため、

同じ日に重なった年などは、どうしたらいいか、祭り狂いにとっては

重大なことなのでありますよ。

体力のある若い時なら、掛け持ちしたって何ということはなかったのですが

老人の仲間入りを果たした今は無理はいけません、

夏の暑さに道端でへたり込んだりすればすぐに他所様にご迷惑がかかりますでしょ、

「爺(じじい)は家でおとなしくしてろ」

とおっしゃるんですか、

今年見過ごしたら来年は無いかもしれないのが

老人という者じゃないですか、

悔いを残さないのが老人の正しい生き方というものですよ。

で、祭り中日を成田でと決めまして、

京成電車に乗り換えてやってまいりました成田表参道、

どこまで続く人の波、いやいや相変わらずの賑わいに

見ているだけでヘトヘトになりそうですよ。

こうなれば、美味しいところをつまみ食い戦法で

涼しくなる夕暮れまで、いつもの鰻屋さんで腹ごしらえ、

相変わらずお女将さんは美しいし、鰻は美味いし

これが祭りの楽しみでございますよ。

仲之町の坂道が一番の見所、この坂道を山車が一気に駆け上がる

勇壮な姿をコノ目に焼き付けなければ、冥土で待っているオフクロさまに

会わせる顔がありませんからね。

次々に駆け上がってくる山車の上ではいなせな若衆が下座連のお囃子に

合わせて修羅の舞い!!

そういえば、成田のお囃子は仲之町と本町が神田ばやし、

花崎町、東町、上町、田町、土屋町、幸町が佐原ばやし、

今年の見所は、上町のまるで歌舞伎舞台のような華麗な二層屋台が

目を引いておりました。

来年の祭りを無事に迎えられるかは誰にも判りません、

だからこそ今年も迎えられた嬉しさに人々は歓喜の雄たけびを

あげるのでしょう。

祭りは夫々の人生と深く関わっているからこそ続けられるに

違いないと改めて感じ入った夏の一夜の酔い祭りでございます。

(2018年7月 成田祇園祭 仲之町にて)