昨夜の三社様の境内は凄かったですね、と言ったって、

遠くからちらちら眺めていたんですがね、

一夜明けて早速三社様にお参りにまいりました、

まるで昨夜のことが夢の中の出来事じゃなかったかと

思うほど祭りの後は静かなものですよ、

お参り済ませて朝の清々しい空気を吸い込んで町内を

ひとめぐり、若い衆たちの祭りの後始末が始まっておりますよ、

みんな声がガラガラ、頑張ったんですよ。

「ごくろうさま!」と労いの挨拶です。

三社の祭り提灯が少ずつ片されていくと、すでに仲見世は観光客が

どっと押し寄せてまいりますよ、

随分、外国からのお客様が増えましたね、

「コレカラ マツリ アルカ」

片言の日本語で訊ねられましてね、

うーん、三社の祭りは終わりましたが、この人波を見れば

まだ祭りが続いていると思いますよね。

それでも、きちんと提灯は観音様のご縁日用に取り替えている

あたりは、流石に変わり身の早い浅草でございますよ。

その外国の方に

「浅草は観音様のお膝元だから、

 お参りするときっといいことがありますよ」

そしたらそのタイからいらした方の参拝姿には思わずこちらの方が

恐縮してしまいましたよ、

なんと素晴らしい祈り方をされるのでしょうか

さすがは仏教の国から来られた方の仏に対する見識がまったく素晴らしい

のです。

アタシなんぞは、ガキの頃から、頭をペコッと下げて、

「ああして欲しい、こうして欲しい」

とお願いばかりしているのですからね、

感謝の念を忘れた祈り方なんぞは、何でもお聞き届けくださる観音様でも

きっとそっぽを向かれてしまいますよね。

他人(ひと)の振り見て、わが振り治せ

とはまさに名言でありましたよ。

浅草は感謝の祈りを捧げる町 でありますよ。