旧下総町(現成田市)名古屋に平安時代から

続く古式ゆかしい神社があると五年前に

聞いておりましてね、

「助崎須賀神社」

御祭神は「建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと)」

その名古屋地区の氏神様に感謝し、子供達の成長を願う

祭りが行われているというのです。

須佐之男命を祀る祭礼ですから祇園祭に違いないと

早速、訪ねてまいりました。

五年前には一日違いで祭りを見ることが出来なかった

のです、なにしろこちらの祭りは夕方から夜までの一日だけ

行われるのですから、なかなか見る機会に恵まれなかった

のです。

前回は、滑河駅から暑さの中、一時間あまり歩いて

フラフラになりながらたどり着いたので、

今回は車でやってまいりました。

車を止めていると、安全協会の方が

「其処に止めて置くと、車が傷ついてしまうかもしれないから

奥の畑の傍に止めたほうがいいよ」

意味が良くわからなかったのですが、後ほどその忠告が正しい

ことを知ることになるのですがね・・・

村の鎮守のような古式ゆかしい神社に触れ太鼓が響くと

白丁姿の若衆達が大勢集まってまいります。

神社の垂れ幕も、若衆たちの半纏に付けられた紋も

月星印ではないですか、

古老にお尋ねすると、

「昔からこの名古屋地区を納めていたのは大須賀氏で

千葉介常胤の四男四郎胤信を祖としているのだよ」

なるほど千葉一族であれば、妙見信仰の月星印の紋が

当然ですよ、以前888回目の千葉神社の祭礼にお邪魔した時に

この月星印の勇姿をしかと覚えておりますよ。

さて、神輿はとみていると、煌びやかに飾り付けられた

神輿は本殿に早々と仕舞われ、白木の神輿が運ばれて

まいりました。

神官様の祝詞奏上、役員挨拶が終わると、その白木神輿に

一升瓶からお神酒がドバドバとかけられ、そのあいだに

若衆たちは一升瓶からラッパ呑み、すでに千鳥足状態じゃ

ないですかね、

古老は笑いながら

「昔から担ぎ手が酔っ払っているから、神輿が落っこちたり

ぶつかったりするんだよ、だから白木のままの神輿なんだ」

なるほど、神輿の屋根に附ける鳳凰を役員さんが手にもって

神輿の後ろを附いていくらしい、

そりゃそうですよ、道に転がしたり、近くの川の中に

入ったりと普通の神輿振りとは異次元の神輿担ぎのようですな。

太鼓が打ち鳴らされると、若衆が神輿に取り付き、神社から

出輿してきました、

あれ、大丈夫かな、もうあっちへよろり、こっちへよろり、

これでは車なんか駐車してあれば間違いなく

ぶつかりますな、

向かった先は昨日お訪ねした小御門神社らしい、

その道筋で待ち構えているのが、水巻隊、

バケツの水を思い切りぶちまけるのですよ、

アタシは深川の祭りで慣れっこですが、ここで

水巻神輿が見られるとは・・・

いやいや、小粒でもヒリリと辛い祭りかな

想わぬ楽しい祭りにお眼にかかることができました、

でも、あの千鳥足で夜の10時過ぎまで大騒ぎするとは

若衆たちのエネルギー凄まじきかな。