「あめの 日」

しろい きのこ

きいろい きのこ

あめの日

しづかな日

 八木重吉 『秋の瞳』より

「雨」

窓をあけて雨をみていると

なんにも要らないから

こうしておだやかなきもちでいたいとおもう

「雨の日」

雨が すきか

わたしはすきだ

うたを うたおう

八木重吉 「貧しき信徒」 より

平成28年10月28日、

詩人八木重吉が亡くなって90年目の秋です。

秋の雨に会うたびに、29年の彼の人生の中で

たった三つだけ残していった雨の詩を口ずさんでみる。

命の永くないことを知った彼が

秋の冷たい雨を それでも好きだと言い切っている

詩人の魂は、病んだ身体を乗り越えて叫び続けるのだろう・・・