「氷川」の名のつく神社はそのほとんどが埼玉、東京の荒川流域に

多く分布しておりますが、その本社はさいたま市大宮の氷川神社で、

そこから勧請された由来を持つ氷川神社が数多くみられるのです。

出雲の氏族であった武蔵氏が武蔵国造となったことで、氷川神社は

どこも素盞嗚尊を祭神として祀っているのです。

今は東京の下町の風情を醸し出している堀切五丁目(旧上千葉村)の

氷川神社も荒川流域に創建された神社のひとつのようです。

九月の半ばともなると、葛飾地区は彼方此方で秋祭りが始まるのです、

堀切菖蒲園駅から路地を何度か迷いながらたどり着いた氷川神社は

露店が立ち並び、子供たちの姿が沢山見られ、なんだか昔の祭りを

想いだし嬉しくなりましたよ。

「射的」の店には子供に交じって大人たちが興じているではないですか、

自分たちの子供の頃を思い出しているのかな・・・

「おじさん、こっちもお願い!」

「オレひとりで二店掛け持ちだからそんなにすぐには手が回らんよ

 ちょっと待ってくれよ」

店のオヤジさんもすっかり上機嫌ですよ。

神楽殿での奉納里神楽は夜の7時半からとのこと、

それでは、町内をひと巡りしてまいりますか。

協和会さんの神輿が準備にかかりました、

会長さんにお訊ねすると、

「此の神輿は62年前に造られたんだよ、つい最近化粧直ししてね

 形(なり)は小さいけれどけっこう重たい神輿なんだよ」

屋根の鳳凰は稲穂を咥えていますよ、

「この稲穂はね、小さな田圃で実際に米を作ってその稲穂なんだよ」

このあたり、今は田圃も畑も無くなりましたが、神輿のために小さい田圃まで

作っていたのですよ、まさしく五穀豊穣を願う祭りなんですね。

すっかり暮れてしまった路地の先では、東堀切一丁目の神輿が

夜空に届けとばかりに揺れておりますよ、

神輿は大きければいいというだけでは無いのです、

みんなの心意気が一点に重なり合った時、

祭りの意味が身体を通して感じられるのかもしれませんですよ、

木の音が響き渡って無事宮入が終わったようです、

さてと、次は奉納里神楽へ向かうといたしますかね。

H27.9.13 堀切氷川神社祭礼にて