この国を旅して感じることは・・・

春夏秋冬 その移り変わる季節の境目に

立ち会える楽しさであり、

それぞれの風土の中で培われた人々の

きめ細かい優しさに出会える嬉しさなのです。

そんな数々の出逢いを重ね、其のつど綴り続けた『日々』は

何時の間にか十五年を超えてしまっていた。

必ずやってくる老いの日、

それは足腰か言うことを聞かなくなり、

あんなに自由に旅が出来たことが不可能になる日なのです、

その時に、

日記を紐解くように一話、一話、記憶を辿りながら

「ああ、こんな出逢いがあったのだ」

などと昔を偲ぶよすがになればと始めたHPなのです。

久し振りに何処へも出かけない一日、

そうだ、予行練習のつもりで思い出の旅路を辿ってみよう、

などと思い描いていたことを実践してみたのです。

確か、厳冬期にわざわざ雪の信州を訪ねたことがあったな、

でも、それが、何時のことだったかさっぱり思い出せないのです。

「これから、ますます記憶が消えていく老人になるのに・・・」

検索という機能があることを思い出し、キーをひとつ叩いただけで

目の前にその日の情景がくっきりと現れてしまうのです。

記憶なら、消えてしまうに任せていれば自然消滅してくれるのに

HPというヤツは決して忘れないのですよ。

「これは考え直さなければ」

自分がこの世から消えてしまった時、私の分身がいつまでも

残っていることなど 恥ずかしくて我慢ならない、

そうだ、ひとつのキーで検索出来たのだから、ひとつのキーで

消滅も可能だろう・・・

もし、自分の寿命が尽きる時がきたら、絶対に全てを消滅してから

ゆっくりあの世に行こう、

そう決めたら、なんだかこころに余裕が出来ましたよ。

さてと、そうと決まれば検索一発!

寒中の旅が目の前に現れる、

嗚呼!十年前だったのですね、

ここにあげた写真を写した時、どんなことを考えていたのか

どんな人に出会っていたのか・・・

たった一日だけの思索の旅は、思った以上にぞろぞろと

画面の中から溢れてくるのです。

「へーっ! そうだったのか、覚えてないな、」

全て自分の体験したことなのに、改めて感じる寒中の旅、

そうだよ、もう頭の中は限界だもの、

忘れることで、次の新しい記憶が

とって変われるというわけだものね。

旅というのは、こんな楽しみ方もあることが

判っただけで

今日と言う日が輝きだしました。

さて、明日からまた歩き続けるとしますかね、

ひとつ忘れたら、ひとつ新しい旅をこころの引き出しに

詰め込むためにね。