梅は咲いたか

梅は咲いたか 桜はまだかいな

 柳やなよなよ 風しだい

 山吹や浮気で 色ばっかり しょんがいな~

アタシが最初に口ずさんだ唄でございます。

それも小学生の時、先生の前で歌ったんでありますよ、

ませたガキだ! と廊下に立たされたんでございますよ。

いい時代だったと云うべきか、骨のある先生がまだいらっしゃった

というべきか、

何しろ、此の唄を教えてくれたのがレッキトシタ アタシノおふくろさん、

なにしろ小唄の師匠でしたから、来る日も来る日も、

きもの姿のオヤジさんが唸っていたんでありますから

どんな子供だって自然に覚えちまいますよ。

桜さくらと 浮かれているわいな

 弥生三月 花見月

 あなたは花より 酒ばっかり しょんがいな~

昔は良かったと云うようになると年老いた証拠なのでありますが、

あの頃は型破りのおっさんなんていうヘンテコリンな人が沢山生き残って

おりましたな。

浮気は男の甲斐性

明治男にとっちゃ当たり前のことも、時代が変われば

誰も許しちゃくれませんでしょ。

アタシの曾爺さんはお妾さんが八人

隔世遺伝だ!と変な言い訳をしていた親父などは、

妾宅6日、本宅1日なんてー生活を堂々とコナシテおりましたな。

云っておきますが、オフクロさんは玄人上がりじゃございませんよ

れっきとした下町は深川生まれのしゃきしゃきな粋な人、

要するに世の中の常識てヤツにまったく左右されない生き方を

どちらも貫いたというわけでございます。

なんでこんな話を申し上げたかと云いますと、

近頃、若い連中を見ていると、「空気を読め!」なんていう訳のわからない

ことで雁字搦めになってやりたいことも出来ない連中がはびこっちまって

いるのを見てると可愛そうになっちまうのですよ。

空気を読め!って何ですかね、世の中の常識?

そんなもの気にしてばかりいるから、植物性男子なんて呼ばれちまう

んじゃないですかい、

そのうち、強い女の子に犯されたって警察に泣きつく男が

あらわれますよ、たく!

恋の浅草 二人で行こかいな

 何を言問 都鳥

 末は千鳥で 泪橋 しょんがいな~

恨むぞえ

お互いに 死ぬの生きるの言った仲

はっ お忘れか

梅は匂いで 桜は花で

いつも柳は風次第

恨むぞえ

此の世は男と女(近頃はその中間もおりますようで)で出来上がって

いるのでありまして、ここはれっきとした日本じゃございませんか、

西洋の真似なんかしないで日本人を生き抜いてみませんかね、

まあ、アタシ等は老い先短いのでこのまま勝手させていただき

あっという間にあちらに逝っちまいますからどうでもいいのございますが、

後に残していく、若い連中に云っておきたいんですよ。

「空気なんてものは読むんじゃねー、

アレは思い切り吸い込むモンだ」

ってね。

あー、せいせいした、それじゃちょいと花見に行ってまいります。

あのそれから、これは独り言ですから、へんなメールなんか

よこさないでくださいよ。