町中を練り踊る祭りは全国にたくさんありましてね、

青森の黒石よされ、秋田の西馬音内踊り、

岩手盛岡のさんさ踊り、山形花笠まつり、

越中おわら風の盆、岐阜の郡上おどり、

徳島の阿波踊り、高知のよさこい踊り、

熊本山鹿灯籠まつり 、そして沖縄のエイサー

その起源を遡れば大抵は祖先崇拝と念仏踊りに結びつく

といいます、

昔は各地域で行われていた祭りも、かつては船の寄港地へと

伝播していくのですが、やがて交通機関の発展とともに

その地へ訪ね行く人々が増え続けることにより、

単なる地方のお祭りに留まることなく一大観光イベントに

膨らんでいくのです。

そんな祭りの中から、阿波踊りとよさこい踊りは、

徳島や高知から大都会へと飛び火するように、

祭りの形態そのものがが運ばれていくに従って

たぶん宗教色を消した阿波踊りなどは、瞬く間に

東京やその周辺へ爆発的な流行を生んでいくのです。

確かに発祥は阿波徳島ですが、

今や大都会東京ではその明るさが、

二拍子の調子が、踊りの手振りが、人々を巻き込んで、

現代の風流の極みを繰り広げているのです。

これは今や 阿波踊りと云う名の、東京の盆踊り

といえるかもしれませんね。

始まりは商店街の人集めだったかもしれませんが、

盆に踊り明かすことを当たり前と考えている人々が

居なければ、途中で消滅していたでしょう、

年を経る毎に、ますます盛大になっていくことが、

盆踊りの本来の意味を今も持ち続けていることの

証かもしれませんよ。

今宵は、高円寺と大塚の阿波踊りが重なりましてね

勿論、今一番ご贔屓にしている「新粋連」が踊る大塚を

お訊ねいたしました。

ヨネさんは元気だろうか、

いつもの白と青の衣装の 新粋連は、あの調和のとれた踊りを

今回も見せてくれましてね。

(大塚新粋連)

あの合図の鉦の音が響くと、一斉に踊りが始まりました、

三味線が、鼓が、太鼓が一斉に唸りを挙げると、

さあ、踊りの始まりです、

「ヤットサ・ヤットサ!!」

盆踊りは、やっぱり庶民の祭りの代表ですね。

踊る阿呆に 見る阿呆、

どちらにも神が宿る祭りの中に身を置いた者に

きっと盆神様は微笑んでいるでしょう。

いつまでも続くお囃子が夜の都会に木魂していた

祭り旅の途中でございます。

(ヨネさんの神振り舞い平成16年大塚にて)

ヨネさんのお姿が見えないのでお訊ねすると

昨年の夏を最後に踊りを引退されたとのこと、

九十を迎えて踊りで元気と勇気を与えてくださったヨネさん

今もお元気で新粋連の会長を務めていることを

お聞きして古希を過ぎたくらいでへこたれてなんか

いられないと祭り行脚の旅を続ける意欲を

新たにいたしましたよ。