広島での二日目、

やはり路面電車に乗って港を目指した。

どうしてもこの眼で見ておきたい「宇品港」である。

抜けるような青空の広がる港に佇むと、目の前には

江田島・能美島、似島、が意外な近さで見えている。

中でも小さな富士山のような美しい山がそのまま島に

なっているような 似島 がひときわ眼を惹いた。

昨日の「広島平和会館原爆記念陳列館」の中で

こんなお話をお聞きしたのです。

被爆当日、負傷した人々は爆心地から4km離れた

似島、金輪島、江田島、能美島へと運ばれたという

のです。

特に似島は陸軍第二検疫所があったところ、

戦場から帰還した兵士達はまず似島に送られ、検疫を

受けなければ本土に帰ることができないという歴史が

あったのです。

似島という名の島があることは、東京で暮らすものには

全く知らない名でした。

こうして宇品港を訪ねると、その歴史を知らなければ

「ああ、なんと美しい景色だろう」

と思うばかりです。

ここ宇品港からはフェリーに乗れば二十分ほどで似島に

いけるのですね、

しかし、あの「広島平和会館原爆記念陳列館」を訪れた後では

とても観光気分では行かれそうもありませんでした。

ここからは似島の奥に江田島も見えています。

次に広島を訪ねた時は、似島、江田島を訪ねてみよう。

四国松山からの連絡線が入港してきた、

かつては終戦後、戦場からの復員兵が上陸しただろう宇品港、

今は、船を利用する旅人もすっかり減ってしまったらしい。

少しの喧騒が過ぎてしまうと、再び静かな港に戻っていた。

アタシは車ならどんなに長距離でも車酔いにはならないのですが

船だけは、東京湾フェエリーでも船酔いしてしまうのです、

これだけ旅を続けていながら、島への旅は出来ないでいるのですよ。

凪いだ瀬戸内海を見つめていると、これなら船酔いしないのでは

と思えてくるのです。

瀬戸内海には訪ねたい島が700以上もあるのです。

小豆島、大三島、因島、生口島、

そして今回の旅で知った似島や江田島、

北海道から九州まで日本中を旅してきましたが、いよいよ残るは

島旅になりそうな気分の旅の途中でございます。