「あなた 何処から来なさったネ」

旅先でよく聞かれる言葉です、

さて、どう応えたらいいやら、

「トウキョウからです」

「ああ、トウキョウかね」

何となくコミニュケーションが取れ始めるから不思議です。

でも、トウキョウ というとどんなイメージを持つのでしょうかね、

地名としての 東京 は実に漠然としているのです。

例えば、石川県の金沢、宮城県の仙台、茨城県の水戸・・・

旅好きにはその地名を聞いただけでみんな鮮明に景色が

浮かん来るのです が、

東京都の東京って地名はなんだかありそうで実は無いのですよ、

「それじゃ東京で夕方六時に待ってます」なんて約束したって

きっと出会うことは出来ませんですよ。

東京と云って一点を表すのは 東京駅 だけなんですね。

中島みゆきの「ファイト」という歌の中に出てくるのは

確か「東京行きのキップ」でしたよね。

そんな漠然とした東京で毎日うろうろしていると、

別段 東京という地名に鈍感になっているんですね。

東京を大きく分けると東の下町、西の山の手

なんていう云い方ができるのですが、

普段隅田川の辺でウロウロしている下町おじさんには

東京の西部地域は全くの異国のようなものでしてね。

実は東京の西の方にも確か下町風情のあった町を思い出しましてね、

何十年ぶりかで、鬼姫様をお誘いして訪ねてみましたよ。

「いやいや、凄い繁華街になっておりますね」

まあ、大抵の人込みは浅草で馴れておりますので驚きはしませんが

それにしても平日の商店街の活気のあること、

ところが、大きな閉店セールスの貼り紙がひときは目を引きます、

「ヘーッ、デパートが3月14日で閉店ですって」

こんなに人が集まって、買い物客が殺到してるのに、大資本のデパートが

撤退、これってもしかしたら、個人商店の活気が勝ったということですかね。

名も懐かしい「ハーモニカ横丁」も健在ですよ、

なんだか 竹槍でB29を撃墜したような気分、(例えが少し古すぎますかね)

横丁の細い通路には、彼方此方に客の行列が、

尋ねると、「此処のチャーシュウと餃子は天下逸品なんですよ」

戦後の闇市から続く横丁のしぶとい商魂、

客を客とも思わない大資本のブランド志向が個人商店に敗北

ということでしょうか。

商売は、額に汗して働いた者に陽が当たるということですよ。

お金が金を生むなんてバカバカしい投資なんていうのが

いつまでも巾を利かせてちゃ平和はいつになっても

訪れやしないのですよ、多分、きっとね。

二人で歩くとすれ違えない細い路地の何と言う居心地の良さ、

下町はこれじゃなくてはね。

でも、また、大資本は虎視眈々と狙っているのでしょうね、

火が出たらどうするんだ!

なんて叫びながら再開発を・・・。

そんなことは60年前からわかってますよ、

火なんか出さないでやってきたんだからね。

これも東京

あれもトウキョウ

そしてビルだらけの街もTOKYOU!!

吉祥寺 「ハーモニカ横丁」にて