高原01

一度上り詰めたら下りたくないのが 人気稼業と山登り、

ましてや、涼しさを通り越して日中でも肌寒いくらいの

高原に身を置けば、そりゃそのままここに居たいと思うのは

アタシだけじゃありませんでしょ。

高原02

皆が仕事している時に好き勝手やるってぇのは

中々精神衛生上よろしくないのでして、

どなたか同調者がいないか辺りをキョロキョロと

見回しても何処にも、何方も居ないのが

世の中というものでございますよ。

高原03

仕方ないから、水の流れに耳を傾けて人生を愁いてみても、

所詮こちとらは俗人稼業、

「あの流れが全部酒だったら儲かるだろうな」

なんて、考えているんでありますよ、

高原04

自分が呑兵衛のお方なら

「これだけあればタダで酔っ払えるわ」

なんて考えるんでしょうが

何しろアタシは酒はからきしいけない口でしてね、

だから、もし本当にこの流れ落ちるのが酒でも、

「勿体無い」

とは感じないで居られるのですがね。

高原05

冗談のひとつも言って誰か笑ってくれまいか

と辺りを見回しても、蜩が悲しげに鳴くばかり。

そういえば、オマエさん達は夏になると地上に這い出してきて

秋を知らずに逝っちまうんだね、

そう思えばその鳴き声が悲しい響きに聞こえますな。

秋色09

本も飽きたし、写真でも撮るかと

ファインダーを覗いていると

シャッター押す指に何かが触れる僅かな感覚に、目を上げると

アカネが指に止まっている、

そのままじっとされるがままの秋模様、

気がつけば空いっぱいのアカネ色

遠くで鹿の鳴き声

ここはもう秋ですよ・・・

高原07