旅の途中

あの頃は・・・

巷にはエルヴィスのロックンロール、

クリスマスは

ビングクロスビーの『ホワイト・クリスマス』

フランク・シナトラ

ナット・キング・コール

ペリー・コモ

そしてプレスリーに流されなかった真面目派は

パット・ブーンの「砂に書いたラブレター」や

「四月の恋」にうっとり。

レコードはまだSP盤、電蓄なる家具のような箱から

音楽が流れた。

電蓄がある家はまだ町内に一軒か二軒、

大抵はラジオから流れるS盤アワー、L盤アワーに

耳をこすりつけるように聞いていましたね。

日劇ウエスタンカーニバル開幕

巨人・長嶋茂雄選手、4打席4三振デビュー

狩野川台風神奈川県に上陸

西鉄、日本一。巨人相手に3連敗から4連勝果たす

新1万円札発行

東京タワー完工式

若乃花勝治、栃錦清隆、朝汐太郎、

月光仮面

アート・ブレイキー とモーニン

赤胴鈴之助

横山大観、 木村荘八, 石井柏亭、

封書10円 はがき5円

フラフープ、スバル360、

嵐を呼ぶ男 石原裕次郎

からたち日記 島倉千代子

どうですか、若い人には何がなんだかわからないでしょうが

みんな記憶の底にへばりついているんです。

だから どれかひとつでもこの言葉の響きを聞くと

直ぐにあの頃に戻れるのです。

ダイナ・ショアと聞けば「ボタンとリボン」

ハリー・ベラフォンテと聞けば 『デーオ!』と唄いだす。

そうですか、もう50年も経ってしまったんですね。

アメリカの方ばかり向いて、ガムシャラに走って、後ろなんか

向いてる暇も無かった、

やっと立ち止まって、ゆっくりと振り向いてみたら

貴方は、何が見えますか・・・

消費に浪費、モノは捨てなければ次に行けない風潮に

何も言わずに従ってきた50年じゃなかったのですか。

自動車、新幹線、500人乗りのジェット機、

パソコンに携帯電話、はてはスマフォ

本当に必要だったのかな・・・

モノが溢れて、心の中まで空っぽになるまで

捨てに捨ててきた此の国の文化をどうやって次に

伝えればいいのですか、

まだ、間に合いますかね、

ひとりひとりの大人が何が大切かを知るために

もう一度あの頃に戻れたら

今度はうまくいくかもしれません、

今此の国に吹き始めた不景気の風は、

モノが無かったけれど心が豊かだったあの頃に戻すために

吹いてきたのかもしれない、そう思えればそんなに俯かなくて

済むのではないですか。

モノは無くても豊かに思えた あの頃に戻れたら・・・

Categories: 日々

冬の旅 » « 『ああ金の世か・・・』

2 Comments

  1. 散人さま
     もう・・・どれもこれも胸が熱くなるような言葉の波に埋もれてすっかり時代を遡ってしまいました。
    懐かしいというのではなく、すら~とあの時代の心が蘇る不思議な感覚です。散人さまの言葉の魔術ですねきっと。
    何が起こるのか、どんな世界が広がるのか・・・
    ほんの少しの不安と、根拠のない自信で怖い物知らずで毎日キラキラ目を輝かせていたあの頃

    思い出させてくださってありがとうございました。
    きっと今年は良いことが起こりそう~

    捨ててきたものをもう一度愛おしく思い出してみますね

    • 旅人 散人

      2017年1月21日 — 10:07 PM

      まい様

      この国では65歳を過ぎると「高齢者」というくくりの中に
      押し込められてしまうようですね。

      ところが、この高齢者軍団は現在全国で 3.400万人 を
      超えているのだとか、
      実に国民の4人に1人が高齢者というわけなんですね。

      この高齢者軍団は一大勢力に膨れ上がっているのです、
      そりゃあ、体力は若者には対抗できませんが、数々の修羅場を
      潜り抜けるたびに身に着いた知恵や身のかわし方、その使い方は
      時には忘れたフリ、さらにはボケたフリなんていう姑息な手段まで
      動員して世の中に巣くっていけそうな気がしてきましてね、

      しかし、残念ながら記憶の減退は隠せなくなるのは仕方ありません
      でしょ、
      人の名前は「ほら、あのヒト」なんて実名が出てこなくなる
      のは承知のことと悩まないことに決めますと、最近の記憶が残らなく
      なった分、大昔のことがスラスラと出てくるのですね。

      それは、若者たちには知ることのできない昔の記憶がその当時の
      景色まで引き連れて鮮明に浮かび上がってくるではありませんか、
      これはもう高齢者の特権だと、思い出す限りの言葉を並べて
      みたのでございます。

      若い時に、目を輝かせてアレもコレもと見つめていたものが
      数十年後に、宝石のように輝きだすのですから、老人生活も
      捨てたものじゃありませんですよ。

      そうそう、記憶に残っている昔のことは、すでに脳の中でピカピカに
      磨かれて出てくるのですから、いい気分でいられるということ
      なんですね。
      たまには、あの頃の記憶を探す旅も楽しいかと・・・

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