さて今年の大國魂神社の祭礼(くらやみ祭り)は

5月4日の御太鼓の響宴と山車巡行を

観てみようと夕刻に府中の町へ。

もう通いなれた町ですから、時間の使い方や何処に行けば

いいかもおおよそ見当がつくようになりました。

このくらやみ祭りの一番の見所は5月5日の神輿渡御(おいで)、

しかし、誰もがこの日を待ちわびておりますので、もうひ弱な爺などは

その人波をみただけで怖気づくほどの混雑に、今だこのハイライトを

観ることが出来ないでいるのです。

しかし、前日の5月4日は、殺気立つようなこともなく、じっくりと

このくらやみ祭りの特徴を現す御太鼓の大きさと音の響きを目の前で

感じることができるのです。

京王線府中駅を降りると、腹の底まで響くような御太鼓の音が

「ドスン! ドスン!」と聞こえてまいります。

以前、浅草今戸神社の祭礼にこの御太鼓が参加してくださったことが

ありましてね、その音の迫力に浅草の住人が度肝を抜かれて

朝から何事かと集まってきたのですよ。

どうやら、この府中の御太鼓の中に、浅草の職人さんが手がけた

太鼓があることのご縁で実現したらしいのです。

さてこの御太鼓、御先払い太鼓と呼ばれ、お神輿(神様)がお通りになる道を、

大きな音(音霊)によって、魔を追い払う意味があるのだそうです、

  御先払御太皷

  二之宮御太皷 (浅草にて製作)

  三之宮宮御太皷

  五六之宮宮御太皷

  御本社御太皷(製作は浅草の宮本卯之助商店)

  御霊宮御太皷

なかなか浅草とご縁のある御太鼓でございます。

この御太鼓は神輿渡御の先祓いの際に曳き出されるものと思っておりましたが、

最近は前日5月4日の夕方に受け持ちの御太鼓が各町内を曳き回されるように

なったらしいのです。

おかげで、あの迫力ある御太鼓の音を空気が震える近くで感じることが

できるのですね。

大鳥居前には 御先払御太皷が唸りをあげていますよ。

千葉神社の御祭礼でも一台の太鼓が先払いをするのですが、

こちらは六台があのバットのようなバチで叩きつける様は、どんな魔物でも

退散するだろう迫力でございますな。

御太鼓が移動する後ろを附いていくと、御旅所前でどうやら山車巡行を出迎える

ようです、

東と西に分かれた各町内の山車が大鳥居前へと巡行するとのこと、

今回は西の山車を迎えにまいります、

合図の花火が打ち上がると番場町の山車が曳かれてきます、

そして待ち受ける御太鼓の前で挨拶を済ませると、いよいよお囃子が始まるのです。

いつも感心するのですが、山車の上では子供達がバチを振るい、笛の音を

奏で、面を被った子供達が舞い踊るのです。

この盛大な山車の巡行の主人公は子供達なんです、

大人たちは裏方に徹しているのですね、

昔からこの国の祭りには小童は神の子という信仰があるのですが

ここ府中では、子供達を大切に育てていることを感じますね。

本町、片町、本宿町、南町、矢崎町、武蔵台、寿町・・・

どの町の山車も子供達の舞姿が躍動しておりますよ。

夕暮れがせまり各町内の山車に灯りが点り始めると、

東の山車とのすれ違いが始まるのです。

お互いの山車を向かい合わせると、お囃子の叩き合いが始まった、

各地の祭礼で見かける ひっかわせ ではないですか、

暴れ廻るというのではありません、なにしろ子供達が前面に出て

いるのですから和気藹々としたお囃子合戦です。

 東の山車は 新宿町 八幡町ほか九台、西の11台と合わせると

二十台の山車の巡行は目を見張るばかりでございます。

山車巡行が終わると、各町内の山車けやき通りを通って

戻っていくようです。

さて、残るは5月5日の 神輿渡御(おいで)、

来年はもう少し体を鍛えて参上したいと思います。

それにしても祭りは観るだけでも疲れるものでございますな。