北国はまだ十一月だというのに大雪の便り

今朝五時起きしてまだ明けやらぬ東の空を眺めると

明けの明星と火星がキラリ、

少し欠け始めた月が煌々と輝いておりましたね、

朝のうちに仕事を片付けて、自分の時間を取り戻す、

まさに 早起きは三文の徳 とはこのことなり。

勤め人の退社時間を待たずに日が暮れてしまう晩秋の東京、

あの猛暑の夏も、はっきりとしなかった秋の訪れも、

みんな過ぎ去った刻の中に消えていく、

もうどこからも「暑いネ!」という言葉は聞かれない、

この国は四季のある国、振り返ってみれば刻の神は

きちんと帳尻を合わせてくれているのかもしれない。

はらはらとまるで自らの意思があるように舞い散る落ち葉は

森の道を染め上げていく、

その舞い散る桜葉を恨めしそうに見上げながら

何度も繰り返される掃除の男がため息をひとつついた。

これ以上ない儚さを感じ取ったのだろうか、

恋人同士が手を結ぶ、まるで通い合う温もりを確かめるように・・・

東照宮の本殿までの参道は、

東京人にもあまり知られない小道、

日本人より外国人がその繊細な心を見抜くように

じっと見つめている、

ほとんど葉を落とした桜木の上に五重塔がその姿を現す、

「オオ、ワンダフル!」

日本人なら何と表現するのだろう

「いいじゃないか」

それとも

「寂しいネ」

いや、黙って頷くくらいがいいかもしれない。

一陣の風が吹き抜けた

ぱらぱらと頭に、肩に鴨の脚ひれの形をした黄葉が降りかかる、

そういえば、中国ではその形から

『インチョウ』(脚ヒレ)と呼ぶという、

何時の間にか、日本でもイチョウと呼ぶようになったとか、

もう間もなく裸木の梢を木枯らしが訪れるだろう、

「今年の冬はやけに寒いじゃないか」

なんて口ずさみながら、きっと歩き続けているのでしょう、

それが生きている証なのだから・・・

上野東照宮にて