近頃は人間様の都合で祭りの日取りが土日に集中してしまうので

祭り行脚も忙しくなっちまいましてね、

今週の土日も、下町ではあっちこっちでお祭りでございますでしょ、

何処にしようか思案のしどころ、まあ、別に頼まれたわけでは

ありませんので、

こちらで勝手に選ばせていただきまして、

立石の諏訪神社、熊野神社、葛西囃子発祥の葛西神社、

根津神社に、そして今や漫画の世界でも名を馳せた

亀有の総鎮守亀有香取神社の例大祭

特に亀有香取神社は七百四十年式年祭とあっては特に念入りに

駆けつけるのでありまして、忙しいこと、仕事もこのくらい熱心に

やってたらもう少しマシな人間になっていたかもしれませんですな、

でもね、神様をお訪ねして、氏子の皆様と一緒に

お祭りに参加するのは、これ以上の幸せ気分を味わえる

ことなど他に滅多にないのでございますよ。

亀有はアタシの仕事の営業所がありますので、

半分地元みたいなものでして、

まずは神社へ参拝、今も下町の祭りは子供達にとっても

楽しみなんですよ、安産祈願、初宮詣、初節句に七五三と

子供達の成長と共にある氏神様のお祭りは、それだけ地域に

密着しているのですね。

今年の亀有香取神社の例大祭は鎮座七百四十年の本祭り、

宮神輿の受け渡し場所には、今や遅しと町内の若衆が

手ぐすねひいて待ち構える中に潜り込んで、情報収集、

だいたい時間とおりに行かないのが神輿渡御、

耳を澄ませば、路地の奥からお囃子の音とともに

神輿担ぎの掛け声が響いてくるのですよ。

三和町会(今年の夏は盆踊りにも参加させていただきました)の

息のあった神輿振りに思わず拍手しながら神輿の後ろを附いて

いきますよ、

神官さんによる御祓いを受けた次の中央町会の皆さんが待ち受ける

ところへ神輿がやってまいります。

神輿の受け渡しというのは、担いできた町内は少しでも永く

担いでいたいという気持ちがあり、待ち受ける町内は一刻も待てない

ほどに気持ちが高ぶっていきなり神輿になだれ込んだりして

担ぎ棒の奪い合いなんてことになるのですが、

どうですか、三和町の担ぎ手が少し間を空けたところに中央町会の

担ぎ手がすーっと入り込んでいつの間にか三和町から中央町会に

入れ替わっているのですよ、

なんと息のあった神輿担ぎの交代なのでしょうか、

そして休憩前の神輿振りに見事に柝が入って神輿がおろされました。

昔は荒れた神輿振りが当たり前でしたが、気持ちの揃った神輿振りを

目の前に見せていただくと思わず顔が綻んでしまいますな。

休憩時間にアタシも行きつけのそば屋さんで腹ごしらえを済ませると

亀有駅の北口へ、

駅前には沢山の人が集まっているじゃないですか、

神輿は休憩のはずなのにとその中に顔を突っ込むと、

秋本治氏の漫画作品『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の両津警察官の

銅像にレイが掛けられ花束まで添えられているじゃないですか、

「何があったのですか?」

と場違いな質問(アタシは漫画を読んでいないのでね)に

40年続いた漫画が終わりになったということらしいのです。

漫画の世界とは凄まじい影響を及ぼすことかな・・・

と驚きながら、再び祭りの中に戻るのでございますよ。

いよいよ町内神輿の渡御が始まりました。

五丁目西町会の神輿振りに歓声をあげ、路地から表れた

西二丁目の神輿に拍手を送り、太鼓の音に誘われて

四丁目のお神酒所へ、

生憎降り出した雨にまけずに子供神輿が町内へ、

そしていよいよ大人神輿の出輿です。

「長丁場になりますが、宮入りまで頑張ってください」

と町会長の挨拶の後、一本締めで一気に神輿があがりました。

宮神輿の巡行は緊張感がありますが、町内神輿は

気心の知れた皆さんが次々に花棒を譲り合って町内へ

と出て行きます。

雨模様吹き飛ばしながら、大汗かいた皆さんの神輿振りは

なんて気持ちがいいのでしょうか、

日焼けした顔・顔・顔

最終日ともなれば、喉もつぶれた濁声が搾り出すように

「ソレ ソイヤ ソイヤ!」

神輿の後ろにへばりついているうちに、町内を一周、

いやいや、疲れますね、お神酒処で休憩を見届けて

さてと、再び電車に乗って次の町へ

行ったり来たりの祭り行脚、もうフラフラでございます。

いやいや祭り行脚は修行のようでございます。

ちょいと休んで、アイス最中頬張れば、元気もりもり

サーァ! 宮入りだよ・・・