旅の記憶
菅原道真公を祀る神社は全国に一万二千ほどあるらしい。
アタシは道真公に興味津々で東京に居ても、
湯島天満宮・亀戸天神社・五條天神社などの御祭礼には
必ず駆けつけておりましてね。
東京以外でも関東各地には道真公に縁のある地が沢山ありまして
旅の目的地に選ぶことが多いのです。
その菅原道真公を御祭神とする天満宮は随分訪ね歩きましたが
肝心の太宰府天満宮だけがまだ残っていたんです。
九州は何度も旅していますが、九州は歴史好きには行きたいところが
多くて太宰府がつい後回しになっていたんですね。
福岡天神で美味しい食事にありつくと、
「太宰府に行きませんか」
と鬼姫さまにお願いいたしますと、めずらしくふたつ返事でございますよ。
これはシメタと気の変わらぬうちに福岡天神駅より西鉄電車でやって
まいりました。
駅を降りてびっくり、浅草の観音様の人波になれていたはずのアタシも
その人の多さに度肝をぬかれましてね、
参道の両側は土産物屋が軒を連ね、団体客が溢れているのです、
名物 梅が枝餅を売る店に訊ねると
「博多港に大型客船が毎日のように入ってくると、外国の団体客
が押し寄せてくる」のだそうで、各店ににとってはホクホクなんだそうですよ。
そういえば、今朝もホテルの窓から博多港を見ていたら大きな客船が
入港しておりましたね。
外国人団体客と修学旅行生の団体に挟まれてやってまいりました
太宰府天満宮、菅原道真公の墓所・廟に造られた天満宮は湯島や亀戸の規模を
想像していただけにその圧倒的規模に驚きましたよ。
まずは「御牛様」の脚を丁寧に御擦りし、心字池に掛かる太鼓橋を渡る、
三つある太鼓橋はそれぞれ過去・現在・未来を表しているのだそうで、
最初の過去の橋では後ろを振り向いてはならないらしく、修学旅行生が
前だけ向いて神妙な顔で渡る姿いとおかし。
楼門にはなにやら派手な「飛龍天神ねぶた」が飾られている、
十月は「特別受験合格祈願大祭」なのだそうで、若者達の気を惹くことにも
熱心でありますよ。
「学問・至誠・厄除けの神様」として信仰の対象になっている天神様も、
実は一番熱を入れているのは商売繁盛ではないか、と思わせるほどでありますな、
ここまでやってきたのですからお賽銭を奮発して 何の祈願をしようかと
一覧表を見つめると
商業繁栄・初宮参り・災難消除・誕生祭・業務安全・繁栄・七五三
工事安全・神恩感謝・身体健全・心願成就・漁業繁栄・報賽(お礼参り)
開運招福・良縁成就・海上安全・病気平癒・旅行安全・農業繁栄・延命長寿
子宝成就・選挙当選・安産・方除け・競技必勝
なんでも叶えてくれそうな気がしてまいりました。
とりあえず 旅行安全 を祈願いたしましたよ。
「東風吹かば匂いおこせよ梅の花
主なしとて春を忘るな」
京都を離れる際に詠んだ詩の通り太宰府まで飛んできたという伝説の 飛梅 を
見つめながら、怨霊から神になった男の生涯に想いを馳せるのでありました。
参道を戻ってくると、先ほどの団体客はバスで次の目的地へ移動したようで、
のんびりと名物の梅が枝餅を所望、意外にもお抹茶に合います。
それにしても天神様のご利益は、どうやら 商売繁盛 が一番のようですな。
太宰府天満宮にて







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