浅草に住み着いているとね師走を迎えたばかりでも

「浅草はもうお正月をむかえました」

なんていう気になるほど正月飾り一色、

あのね、浅草にはクリスマスを祝うという習慣が

ないのですよ。

それでね、クリスマス気分もたまには味わいたくなる

じゃないですか、そんな時は地下鉄に乗って銀座・赤坂・六本木

と繰り出すのでありますよ。

繰り出すといったって、一滴も酒の飲めない下戸オヤジは

「これが健康のために一番いいのだ」

などと呟きながらブラブラと歩くだけなんですがね、

さて、今宵は銀ブラでございます。

「銀ブラ」っていうと銀座の街をブラブラ歩くことだと思って

おりましたが、本当は、昔、慶応の学生さんが三田から銀座まで

歩いてきてブラジル珈琲を飲んだことから 銀ブラという言葉が

生まれたそうじゃないですか。

まあ、ブラジル珈琲飲まなくたってブラブラするのは楽しいものですよ。

実はクリスマスムード一色だった銀座が、12月25日を過ぎると、

大転換が起きるのですよ。

もともと日本のクリスマスは商業活動の一環ですから終わってしまえば

その変わり身は見事なほど早いのですよ。

クリスマス過ぎれば次はお正月、あのクリスマス・ツリーもキラキラ輝く

クリスマス・イルミネーションもあっというまに取り払われ、

門松を満載したトラックが店の前に横付けされると、あれよあれよと

みるみるうちに正月飾りが出来上がるというわけですよ。

そのために、仕事が増えるわけですから、雇用も増大していいことには

違いありませんが、それにしても日本文化の律儀さには、外国から

やってきた観光客も口をアングリでございますな。

月に一度は変わる和光さんのショーウインドウにも早々と干支の申が登場、

申は 魔去る に通じる縁起のいい動物なんでありますよ。

ハイ、来年はアタシの年ですな、

高望みはいたしません、せめて毎日歩けるだけの健康だけはどうか

残しておいて欲しいものでございますよ。

それにしても暖かな年の暮れでございますな、

コート無しで歩いて額に汗、

アタシの身体の調子より、この天候の方が気にかかりますな、

そりゃ年寄りには、身体が震えるような寒さより、暖かな陽気の方が

有難いのですが、身体が感じるほどの陽気の変化だけは、

元に戻して欲しいものですよ。

明日は、浅草の観音様にお願いしてみましょうかね。

実はクリスマス・イブの日についまたカメラを衝動買い、

自分へのクリスマス・プレゼントなんてぇ屁理屈を呪文のように

唱えながら「誰にも迷惑かけちゃいないのだからいいじゃないか」

と言い訳まで用意している周到さは、人生長くやってる者の

小ズルさがちらちら、

それでも10年連続となると、見つかる可能性が高くなるので

色も形も見た目が変わらない最新型をそっとポケットに忍ばせて

やおら銀座の街をパチリ!

相変わらず言い訳が廻りくどいのは酒を飲まないオヤジの哀しい性と

お許しくださいよ。

それじゃ、もうひと回りしてまりますか・・・