日本の気象庁の予想はたいしたものですね、

昨夜は夜中に何度も目が覚めるほどの豪雨、

気象庁の人が宝くじ買ったら絶対に当たるのではないか

と思えるほど予想通りの雨でしたものね、

昨夜は早寝したので朝の4時半に眼が覚めちまいましてね、

窓の外を見ると、煌々と月が顔を出しているじゃないですか

そうか昨夜は満月だったんだ。

あまり気分がいいので観音様へ朝参り、

雷門までやってくると、

あれ、風神様も雷様も居眠り中でございます。

もしかしたら、夜中に彼方此方暴れまわって草臥れちまったのでしょうかね。

アタシはいまだに気象庁より浅草の雷様の方を信じておりますでしょ、

だって気象庁に明日ハレにしておくれ と頼んだところで

それだけはお受けするわけにはいきませんとお断りされるだけ、

それじゃ何処へお願いに行けばいいかといえば・・・

子供の頃は下駄を放り投げて明日は晴れるぞなんて信じておりましたが、

もっと確かなのが、やっぱり子供の頃から手を合わせていた浅草の観音様、

どうも、お天気に関しては分業制になっているらしく、風神様と雷神様に

任せられているとわかりまして、それからはこの風神雷神様に手を合わせて

いるわけですよ。

ところが肝心の風神雷神様は居眠り中

やれやれ、それじゃどこへお願いにいったらいいやら、

雷門をくぐれば、招き猫が片手を挙げてお出迎え、

お天気をお願いにきたので、どうかなとは思ったのですが、

「明日天気にしておくれじゃないか」

「そいつはアタシの管轄じゃございませんで、

 あちらの風神様と雷神様へどうぞ」

とネコ手で今くぐってきたばかりの雷門を指すばかり、

「だから、今行ってきたばかりで、どちらも居眠り中だからお前さんに

お願いしたんですよ。」

「ですから、アタシども招き猫はお金専門で、お天気はままなりません。」

そうか、いままでお金の相談をしたことなかったからな、

お賽銭も上げてなかったからアイツめ、根にもってるのかな、

今度、お金に困ったらお願いにくるよと招き猫にお礼をいって、それじゃ

仁王様にお願いしてみよう、とやってきました宝蔵門、

仁王様というのは、いつもおっかない顔ををしてますでしょ、

下手なことをお願いすると、

「そんなことは自分で考えろ!!」

なんていわれそうで、小さな声で

「明日お天気にしていただけませんか」

ああ、駄目です、こんな小さな声じゃ仁王様の耳まで

届きませんですよ。

結局、ご本堂までやってきても、まだ扉は硬く閉じておりまして、

そうか、神様仏様にはお願い事をするのではなくて、

お礼を言うところだと婆ちゃんから何度も教えられていたことを

思い出しまして、扉の外から

「えーっ、観音様、昨日も無事過ごすことができました

心より御礼申しあげます」

と手を合わせておりますと、あれ不思議、心配事がすーっと消えて

いくじゃありませんか、

雨なら雨もよし

晴れたらそれもまたよし か・・・

いつも夕暮れ時にお参りしてばかり、たまには朝参りもいいものですな、

もう御酉様の季節なんですね、今年は三の酉までありますので

火の元にご注意を・・・