「花」 作詞:武島羽衣 作曲:瀧 廉太郎

春のうららの 隅田川
のぼりくだりの 船人が
櫂のしづくも 花と散る
ながめを何に たとふべき

見ずやあけぼの 露浴びて
われにもの言ふ 桜木を
見ずや夕ぐれ 手をのべて
われさしまねく 青柳を

錦おりなす 長堤に
くるればのぼる おぼろ月
げに一刻も 千金の
ながめを何に たとふべき

つい三日前までは

「本当に咲くんだろうか」

なんて信じられないほどだった桜、

 「満開ですよ!!」

まさに 三日見ぬまのさくらかな でありますな。

昨年は桜の下の花宴を自粛、寂しい花見になって

しまいました、

一年という時は優しかったのでしょうか、

さまざまのこと思う桜でありますな。

「今年は、何が何でもやろうよ」

毎年続けていた大川(隅田川)に船を浮かべての花宴、

今年の宴を決めたのは三ヶ月前、

その宴の日を何時にするかが幹事の腕の見せ所、

一昨年は四月二日に決めたら見事に外れて、

花のない花宴、急遽場所をお台場に移動して

夜景を見ながらの宴に少し物足りないものになってしまいました。

二年ぶりの花宴は、綿密に予想を立て とは表向きで、

「神様お願いいたします」

と得意の神頼みで決めたのが今日というわけ、

やっぱり、いい子にしていると神様はお見通しなのでございますよ。

夕暮れを迎えると、懐かしい顔ぶれが大川端の船着場に集まってきました。

「久し振りだね」

「元気だったかね」

人生の先輩方も、顔をほころばせてやおら屋形船へ、

満開の桜を眺めながらの乾杯!

「生きててよかった」

なんていう声がちらほら、

みんなこの一年の想いの詰まった日々をすごされていたんですね、

先輩が船頭さんに尋ねた

「船酔いしないコツは何ですかね」

「先に酒に酔っちまうことですよ」

いやいや、それからは酒のピッチがあがること

ぐいぐい、ぐびぐび、宴はいっきに盛り上がるというわけでありますよ。

さあ、元気になったところで、前を向いて行きますか、

「♪花も嵐も踏み越えて、行くは男の生きる道」ってか

古いね、みんな年取っちまったんだね、

まだ世の中のお役に立てるなら、

もう少し頑張ってみましょうよ、

「おーい、船から降りるとき落っこちるなよ」

みんなで励ましあいながらの花宴でございます。