珍しく真面目に仕事をしていて夕暮れに気づきませんでした。

降り続いていた雨が一休みしている間にいつもの散歩へ、

時はまさに春爛漫、後片付けもそこそこに土手の桜の下へ、

もうみんなでドンチャン騒ぎの真っ最中と思い気や、

どうしたのさ というくらい静かなお花見じゃありませんか。

そうでした、東京の桜開花から半月ですよ、やっと満開と

言われても、ハヤル連中はとっくに花など無くたってお花見という名の

飲み会は済んでしまっているんですね。

今更 『満開ですよ!』と言われたって、

一度萎んだ花見の宴をもう一度盛り上げよう

という気にはならないのは正直な気持ちですよね。

やっぱり 桜はね

「咲くぞ 咲くぞ!」

と期待が盛り上がっている時に

「咲いた!!」

と一気に「カンパイ!」といけば、

これはヤンヤの喝采と共にみんな幸せ気分になれるのではないですかね。

アタシは完璧な下戸ですから、お花見と言う飲み会には縁が

ございませんでこの時期はひたすら桜を追いかけるので

ございますよ。

さて今年は、何度も足を運んでも 「まだ三分咲きか・・・」

と繰り返しているうちに、気分はどんどん盛り下がってしまう、

満開の桜の下で一組の花見の宴に声を掛けてみる。

「どうだい、盛り上がってるかい」

「まいったね、みんなお通夜の晩みたいでさ、

  ちっとも楽しくならないのさ」

「やっぱり、桜はパッと咲いて サッと散るからいいのだよ」

じりじり待たせるだけ待たせて、相手が痺れを切らせる前に

「どうだ!」と現れるからヤンヤンの喝采になるんですよ、

痺れが切れちゃった後だと、残るのはしんみり気分というのも

別段桜のせいではありませんが、日本人の桜に対する微妙な

気持ちなんですね。

そういえば、桜の花を皆でうれしそうに眺めて騒いでいるのは

世界広しといえども日本人だけらしいですね。

外国の方が日本人を理解できないという疑問を持ったら、

どうぞ桜を見つめてみてください。

「サクラノハナガサクダケデショ」

ということしか感じられない方には多分、日本人の不思議で

奇怪な春の行動を理解できないでしょうよ。

盛り上がらない満開の桜にもうひとつ

やっと満開を迎えたところへ追い討ちを掛ける大風に横殴りの雨、

やれやれ、呑兵衛はますます自棄酒に走ろうかという按配で

ございますな。

桜狂いのアタシには、いつだって桜は変幻自在、

しみじみと落ち着いた花見の桜散歩でございます。