山背が吹いているのだろうか
みちのくの賢治がオロオロした
あの山背が・・・
冷たく湿った北東風は雲や霧を発生させる
太陽を隠してしまう雲は気温を上げることを妨げると
米作りの人々を絶望の淵に落とし込む。
飢餓を呼ぶ風にならなければよいが・・・
仕事が一段落して街にでてみた
まるで軽井沢の高原にいるような涼やかな風が吹いている
この膨大なエネルギーを吐き出し続ける大都会が
たとえ一時にせよ
汗もかかずに歩けるのはあの山背のお陰だとしたら、
農業と全く縁の無くなった街の人々は
「凌ぎやすくていいですね」
と挨拶を交わしている。
時代が百年以上も遡ってしまった屋敷の中で
ぼんやりと本を読む。
あの大財閥が造り出した洋館にはクーラーは無い。
開け放たれた窓から流れ込む風は
真夏の都会に吹く風とはとても思えないほどの清々しさ、
こんな涼やかな日がずーっと続いて欲しい
などという贅沢は言うまい。
たった一日いや一時でもいい、クーラーから開放された
やさしい風に吹かれるなら。
(2017年8月岩崎邸にて)
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