日本の気象庁の予想はたいしたものですね、

昨夜は夜中に何度も目が覚めるほどの豪雨、

気象庁の人が宝くじ買ったら絶対に当たるのではないか

と思えるほど予想通りの豪雨でしたものね、

ひと仕事終わらせて窓の外を見ると、どうやら雨は小降り

になっておりましてね、

アタシはいまだに気象庁より浅草の雷様の方を信じておりますでしょ、

だって気象庁に明日ハレにしておくれ と頼んだところで

「それだけはお受けするわけにはいきません」

とお断りされるだけ、

それじゃ何処へお願いに行けばいいかといえば・・・

子供の頃は下駄を放り投げて明日は晴れるぞなんて信じておりましたが、

もっと確かなのが、やっぱり子供の頃から手を合わせていた浅草の観音様、

どうも、お天気に関しては分業制になっているらしく、風神様と雷神様に

任せられているとわかりまして、それからはこの風神雷神様に手を合わせて

いるわけですよ。

このところ頻繁に台風が押し寄せてくるので、どうしたことかと

雷門までやってくると、

あれ、風神様も雷様もお昼寝中でございます。

もしかしたら夢の中で、気分転換に南の島まで出かけて大暴れしているのでしょうかね、

やれやれ、それじゃどこへお願いにいったらいいやら、

雷門をくぐれば、招き猫様が片手を挙げてお出迎え、

お天気をお願いにきたので、どうかなとは思ったのですが、

「明日天気にしておくれじゃないか」

「そいつはアタシの管轄じゃございませんで、あちらの風神様と雷様へどうぞ」

とネコ手で今くぐってきたばかりの雷門を指すばかり、

だから、今行ってきたばかりで、どちらもお留守だからお前さんにお願いした

んですよ。

だから、アタシども招き猫はお金専門で、お天気はままなりません、

そうか、いままでお金の相談をしたことなかったからな、お賽銭も上げてなかったから

アイツめ、根にもってるのかな、

今度、お金に困ったらお願いにくるよと招きネコ様にお礼をいって、それじゃ

仁王様にお願いしてみよう、とやってきました宝蔵門、

仁王様というのは、いつもおっかない顔ををしてますでしょ、

下手なことをお願いすると、

「そんなことは自分で考えろ!!」

なんていわれそうで、小さな声で

「明日お天気にしていただけませんか」

ああ、駄目です、こんな小さな声じゃに王様の耳まで

届きませんですよ。

結局、ご本堂までいってくると、すでに扉は硬く閉じておりまして、

そうか、神様仏様にはお願い事をするのではなくて、

お礼を言うところだと婆ちゃんから何度も教えられていたことを

思い出しまして、

「えーっ、観音様、本日も雨の中無事過ごすことができました

心より御礼申しあげます」

と手を合わせておりますと、あれ不思議、心配事がすーっと消えて

いくじゃありませんか、

雨なら雨もよし

晴れたらそれもまたよし か

いつの間にか雨が上がってますよ、

ちょいとそこらをひとまわり、

もう氷あずきの季節も終わり、いよいよお汁粉が美味しい季節到来で

ございますな。

「おばちゃん! お汁粉ひとつね」

こうしてそぼ降る雨の夕暮れは不気味なほど穏やかに過ぎていくので

ございます。