旅の途中

細田神社御祭礼

(奉納演芸大会)

あのフーテンの寅さんが東京の下町の風情を色濃く残して

くれた葛飾区柴又から目と鼻の先の旧細田村に鎮座する

細田神社の三年に一度の例大祭が秋晴れの日差しを浴びて

盛大に行われましてね、

アタシの仕事先へ通う道筋にあるため、毎日手を合わせて

いるのです、普段はまるで村の鎮守様のような雰囲気で

境内はいつも掃除がいきとどいていてお参りするのに

こんなに気持ちのいいお社はそう滅多にあるモノではあり

ませんでね。

(町内渡御を終えた神輿が神社に戻ってきました)

先日、夕方仕事の帰りに通りかかると境内が人でぎっしりと

埋まっているんです、

神輿渡御は十月だとばかり思っておりましたが、一週間も前から

祭りは始まっていたんです。

何時もなら神輿庫になっている場所は舞台に早代わり、奉納演芸大会

のようで、舞台には町内の代表が自慢のノドを聞かせると、会場から

はテープは飛ぶ、拍手に混じってまるで歌舞伎の舞台のように

掛け声が飛ぶ

「いいぞ、五丁目!」

そうなんです、細田神社の氏子町内は一丁目から五丁目まであって、

神輿も各町内で出すので自然に競い合うことになるのですね。

(あれ、そのまま宮入りしてしまいましたよ)

夜の更けるまで続いた奉納演芸大会が終わると、神社の周りに止められていた

自転車が一斉に動き出す、もう東京では珍しくなった地域参加型の祭りの風情を

色濃く残しているのですね。

あの晩から一週間、まさに祭り晴れのなか、各町内の神輿が繰り出しました。

神輿の形は小さめで、浅草や神田のような賑わいはありませんが、

各町内のお年寄りから若者までみんなで担ぐ神輿振りがとても和やかで

まさに昔の鎮守様のお祭りそのものなんですよ。

(いよいよ宮神輿の出番です)

町内が次々に神社宮入りに戻ってきます、

神社入り口の鳥居前で全町内が集まるまで待機していると、ひときわ元気な町内神輿が

戻ってくると、どうした連絡の不備があったのか、勢いのまま神社の境内へ

なだれ込んでしまいましてね、

順番待ちしていた町内の世話人さんからは約束が違うとおおもめ、

まあ、祭りには事前の話し合いとは異なることがよくおきるものですよ、

境内に入ってしまった神輿は再び境内から出され、急遽各町内の世話人さんが

協議、どうやら早く到着していた町内から順次宮入りをすることに決まったようです。

それでも、神輿を担げばわだかまりも消えてしまったようで、

なかなか見事な宮入りとなりました、ヨカッタ、ヨカッタ!

ところで、宮神輿は先ほどから本殿の前に鎮座されておりましてね、

今年は大祭のはずなので、まさかそのまま終わるとは思えません、

すると、各町内の神輿が宮入りを終えたあと、宮神輿に人々が集まってきました、

担ぎ手が町内神輿に取られてしまって、宮神輿が一緒に担げない事情が

あったのですね、

苦肉の策として、町内神輿の宮入りの後、宮神輿の渡御が始まりました。

先ほど揉めた宮入り順番問題も、みんなが一緒に宮神輿を担ぎ始めた瞬間に

解決してしまったようです。

宮神輿は鳥居をくぐり表の路上でしばらく揉みあった後、いよいよ宮神輿の

宮入りです、気持ちをそろえての神輿振りが三度、四度続いたあと

見事な宮入りでした。

まさに、雨降って地固まるそのもの、祭りとは些細な意見の違いや、

面子の有り様もすべてひっくるめて解決してしまうものなんですね。

どうやら神様というのはそういう力をお持ちなんだとつくづく感じてていた

祭り旅の途中でございました。

(平成27年10月4日 細田神社御祭礼にて)

Categories: 日々

迷 信 » « 祈り

2 Comments

  1. 大変ご無沙汰しております。何時も拝見させていだたき、和やかな気持ちになったり、寂しくなっなり、情緒味あわせていただいてありがとうございます。
    私の地元は、今年本祭りでございましたが、延期となり、陰祭りとなりましたが、祭りの会の仲間が集まるだけでも、心踊ります。シラけた世間ですが、散人様の情緒味わいながら、やることはやるとの気合いを入れて毎日過ごしたいとの近頃です。天風先生の信念で、怒らず、恐れず、悲しまず、親切、愉快に毎日過ごせたらと、努力しております。
    私事だけで恐縮です。

  2. sanjin

    2021年10月13日 — 8:34 AM

    今年の神無月も祭無月になってしまいました、先日祭の無い佐原の町を歩いてまいりました
    あまりの静かさに涙がこぼれましたよ。
    10年前の大震災の後でも祭りを行った佐原も、今回の流行り病の蔓延にはどうすることも出来ないとマスク越しの顔を曇らせておりましてね、
    人が集い合わなければ成り立たない祭り のありがたさを出来なくなって皆さん噛みしめておりました。
    近頃は犬を相棒に行徳の町を歩いております、浅子神輿店を外から眺めたり、お休み所でのんびり本を読んだりしながら 本祭りが始まる日を待ちわびております。
    くれぐれもご自愛くださいますように。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

Copyright © 2021 旅の途中

Theme by Anders NorenUp ↑