近頃は、各駅列車に揺られてのんびりと祭旅を続けております。

熊谷のとんでもない猛暑の中で行われていた祇園祭を終えて、

今度はかつての水運で栄えた江戸崎の祇園祭を訪ねてみました。

昔なら江戸から川を伝い霞ヶ浦経由の船で江戸崎までやって来られた

のですが、便利なはずの現代でも、鉄道は無く土浦駅か竜ヶ崎駅から

路線バスのみなんですね。

たしか東京駅から江戸崎まで高速バスがあったはずと調べてみると、

2010年に廃止になっていたんですね。

自家用車では東京から高速道路で1時間ちょっとでやって来られたので、

便利な町だと考えていたんです、ところが自家用車以外の交通手段でと

考えると、

鉄道と路線バスで2時間半くらいかかるんですね、それに帰りの路線バスは

竜ヶ崎へ戻るとなると休日は17:00が最終なんです、

旅というのは不便なほど面白いのですが、祭りが目的になると、往復5時間

かけて祭りは1時間も楽しめないというわけです。

仕方なく自分でハンドルを握って江戸崎へ。

交通不便で普段は静かな昔町も祭りになるとどこから集まってくるのかと

驚くほどの人の波に祭りの持つ意味を感じないわけには参りませんですな。

車社会が東京より進んでいる地方都市であれば、車さえあれば不便さは

解決しているのでしょうが、運転のできなくなった老人にとっては、

東京の隣の県でも、名古屋や仙台、新潟などより遠く感じることになって

いるのは、果たして正常進化といえるのか???

まあ、急ぐ旅ではありませんからとりあえず出かけてみましょうかね。

江戸崎の町は祭り一色です、

八坂神社の宮神輿が宮入り目指して各町内を練り歩くと、各十字路では

山車が御輿を送ります。山車の上では「あんば囃子」が鳴り響き、山車

の前では若衆たちが輪踊りを続けています。

江戸崎も祭り文化が連綿と続いている町、

毎年交代で年番制があり、年番町が祭りを仕切るのは祭りの盛んな各町と

同じですね。

今年の年番は 大宿町、宮神輿は御仮屋に収まっているのです、

いよいよ還輿式の始まりに間に合ったようです、

来年の年番 西町の世話役さんたちが、御仮屋のある大宿町へ向かっていく

後ろから付いていくことにいたしましょう。

「昔は若衆が獅子頭を抱えて暴れたもんだったよな」

「ああ、随分静かなお迎えになったもんだよ」

と老人たちが呟きあっています。

(「今年はお獅子メイクしたのよ」

  「イイネ!今日の一番だよ」)

大宿町の御仮屋前では宮司によるお祓いに続いて、年番交代式の

ようです、手渡されたのは年季の入った獅子頭、たぶんこの獅子頭を

一年間預かることが年番町の証のようです。

白丁姿の若衆たちによる神輿振り、天に届けとばかり差し上げた姿の

なんと神々しいのでしょうか、

この祭、なんと三百年以上も続いているのですよ。

祭半纏が汗で滴っておりましたが、この熱気はきっと邪気を祓う威力が

あったと思わず拍手を送っておりました。

  平成27年 7月 26日 江戸崎 荒宿にて