妙見様は毎月1日・15日、薬師様は毎月8日、金毘羅様は毎月10日、

恵比寿様も10日、虚空蔵様は毎月13日、閻魔様は毎月16日、

観音様は毎月18日、お大師様は毎月21日、お地蔵様は毎月24日、

天神様は毎月25日、お不動様は毎月28日、

まだまだありますよ、毘沙門天様は正月・5月・9月の第一の寅の日、

摩利支天は毎月の亥の日、酉の日、申の日、馬の日、

これみんなご縁日なんですよ、

それに、五節句があり、

先勝、友引、先負、仏滅、赤口の六曜があり、

お彼岸が春と秋、桜が咲けばお花見、そのうち夏祭りが始まり、

三社祭だ、祇園祭だ、朝顔市が立ち、ほうずき市が終われば

もう秋祭り、お酉さんが賑わえば、あれ羽子板市、そしてね、

気が付けば大晦日、

そうやって毎日が縁日とお祭りで一年なんてあっという間に

過ぎていくんですな、

どうです、こうして一年を振り返ってみると

この国はね、幸せな気分で毎日過ごせるように

できているんですよ。

いや、先人たちが、自分から悲しいことや、

不幸なことなんか探さなくたって

平和に、ニコニコしながら生きていけるように

これでもかとこんなにたくさんの楽しいことを

残してくれたのかもしれませんですよ。

「笑う門には福来る」

笑いにもいろいろあるでしょ、

人を見下げた笑い、人を馬鹿にした笑いなんてしているとね、

人相がだんだん悪くなるんだって、

笑いはさ高らかに声出して笑うことだね、

そうすると笑い声は人に伝わっていくんだね、

笑うことができるのは人間だけなんだって、知ってました?

昔から福はね笑うところだけにやってくるんだそうですよ。

さてと、今日は師走の21日、

「そうだ、納め之大師さんだ」

ってんで、やってまいりました西新井大師でございます。

「あれ、随分空いてますな」

毎年の初詣にはこの境内が人で埋まってしまうほど賑わう

のですが、納め之大師はみなさんあまり興味がないようですな。

浅草で生活していると、毎日が縁日みたいな賑やかさに

慣れてしまっておりますので、こう空いていると

なんだか気が抜けてしまいますよ。

本殿でお賽銭を奮発して、今年も無事に過ごせたことに感謝申し上げ、

熊手市へ、

いやいや、客より店の人のほうが多いというのもこちらとしては

気が引けちまいますよ、

立ち止まると、買わなきゃいけない雰囲気が出来ちまいますので

横目で見ながらすーっと通り過ぎるんでありますよ。

やっぱり、縁日ってぇものは、人であふれかえるくらいじゃないと

気勢がでませんですな。

福熊手はすでに二の酉市で手に入れてますので、小さめのダルマを

所望いたしまして、すごすごと帰り始めると、参道の店は

あらかた店じまいしちまって腹ごしらえもできませんでね、

うろうろしながら見つけた店は、親父さんが一人でフライパンを

ふるう洋食屋、客はあたしひとり、

「腹ペコなので旨いモノを」

すると、無口な親父の作ってくれたのは、

オムライスにカニコロッケとエビフライの盛り合わせ、

その味の 旨いのなんの、

これは、お大師様の御利益に違いないと何度も舌鼓を打っていた

縁日散歩の途中でございます。

(西新井大師にて)