カサ カサと落ち葉を踏みながら

久し振りに長田谷津を訪ねた。

18年間、生活を共にした胴長の犬が亡くなって

もう三年があっという間に過ぎてしまった。

この雑木林の中に、市の犬猫供養塔がある、

老犬の終の棲家に相応しいと思い、

此処に埋葬をお願いした、

ひさしぶりに訪ねると、

その供養塔は飾られた花で埋まっている、

誰もが愛犬、愛猫へそそいでいた愛の表れなのでしょう、

我が家のワン公の目にはこの鮮やかな色彩は

区別できないだろうが

枯れ枝を揺らしていく風ならきっと感じているだろう、

サワサワと揺れる枯れ草の僅かな葉音も

彼の敏感な聴力なら聞き分けられるだろう

花を手向け、そっと手を合わせていると、

微かな人の気配、

振り向くと手に小さな花束を持った老婦人

「どうぞごゆっくり」

なんだか相手が犬だけに

「いや、もう終わりましたから」

とその場を譲る、

やはり半年前に10年一緒に暮らした犬を

送ったという。

「主人のお墓参りは

一年に一回ですのに、この子のところは

 毎月来てしまうんですのよ」

「そうですか、犬は口をきかないだけに

情がつのるのかもしれませんね」

そう話を合わせてはみたが、

亡くなった旦那も草葉の陰で

「お前、そりゃないだろ」

なんて、口説いているのかな。

長田谷津の雑木林は先人達が開発から守り抜いた

わが町の貴重な自然、

今も自然博物館の若い学芸員の皆さんが、

この最後の砦のように残された自然を

守ってくれているのです。

400種を超える植物、そこは鳥や虫達の棲家、

池の立ち木に、カワセミの美しい姿を見つけ、

葦の枯れ草の中からヨシキリの鳴き声にそっと

耳を傾ける。

彩を増し始めた雑木林の木々を揺らしながら

風が通り抜けていった。

いつまでも残したい自然です。