東京は下町墨東地区(隅田川の東側)で夏祭りの先陣を切るのが

旧寺島村の白鬚神社の例大祭、

何でも昔は、白髭神社、高木神社、長浦神社の合同神輿渡御が

行われていたとか、今はそれぞれ別々に祭礼が行われておりますが

なにしろ水無月の最初の土日に集中させたために、

「今年はどこの祭りにするかな」

と思案するのでありますよ、まあ、祭り狂いにはそれがまた楽しみで

ありますがね。

 白髭神社の御祭神は 猿田彦大神

今朝の天王祭で猿田彦大神殿とお話をしてきたばかり、

うそじゃありませんですよ、ちゃんと、日本語で通じましたからネ、

やはり猿田彦大神様のご縁を大切にしよう、だって、旅の安全をお守り

いただける神様ですからね、

というわけで、今年は迷わず白鬚神社例大祭へお邪魔いたしました。

ところが、今年は陰祭り本社神輿渡御は三年に一度とのこと、

それでも町内神輿が練り歩くというので、さてどちらへ、

祭りが始まると立ち現れてくるのが昔の町名や祭り組織の名前でしてね、

旧寺島村の頃の祭り組織11の各「図子」を染め抜いた半纏を引き継いだ

町の誇りと共に町内を闊歩するのです。

 西図子(宮本)、東図子、中図子、南図子、北図子、辰巳図子、

 番場図子、巴図子、堤図子、玉ノ井図子、八雲図子(向島8丁目)

以前教えていただいたその11の図子のなかから、今年は中図子さんを

お訪ねいたしました。

夕方から始まった神輿渡御、これから神社への宮入り、

ところが町会長の御挨拶に

「年番長の母上が突然逝去されたため、

 副年番長に音頭をとってもらいます」

人生何が起こるかわからないもの、突然の指名の

副年番長は緊張の中で神輿の上へ、

みなさんが囃し立てながら、温かい声援を送るのです、

「オレは誰にもまけねぇ力持ちだ」

とか、

「私は大金持ちです」

といったところで、一人で祭りができますか、

みんながひとつことに一致団結して無償でできることって

祭り以外に何かありますかね、

爺さんも、婆さんも、若衆も娘さんも子供もみんなが笑顔で元気になれること

それが 祭りの持つ本当の力なんですよね、

参加するのに、試験も面接もありませんよ、揃いの半纏に手を通すだけ

するとあら不思議、急に気持ちまで盛り上がってくるでしょ、

そして、神輿の担ぎ棒に肩を入れた瞬間、

そう恍惚状態になれるんですよ、

それに見物人も大事なんです、

祭りは内で担ぐ人、それを周りで囃す人、

みんな巻き込んで、日頃の不満や、鬱憤まで

ぜんぶ綺麗サッパリ吹き飛ばしてくれるとしたら、

祭りほど素晴らしいものはないじゃないですか。

鳶の親方とすっかり打ち解けましてね、

「祭りはいいね、みんなを元気にしてくれるもの」

「最後まで楽しんでいってよ」

別れ際に

「本祭りは本社神輿が出るからまた来てくれよな」

云われなくても、アタシは神輿の周りをうろうろしておりますよ、

こんな楽しいこと止められますかてんだ。

中図子の皆様本日はありがとうございました。