下町は水無月を迎えると夏祭りが一斉に始まるのです、

今週は隅田川神社、隅田稲荷神社、鳥越神社、波除稲荷神社

と目白押しでございます。さてとどちらからまいりますかね。

まずはアタシ等の子供の頃は「水神社」と呼ばれておりました

隅田川神社の本社神輿(大神輿は4年に一度、今年は中神輿)

の宮入りへ。

我が家のご先祖様は、奥州から銚子、さらに利根川から

江戸川を行き来する船運を業としていたと伝わっておりましてね、

川筋を商いの元として随分お世話になってきたのでしてね、

「板子一枚下は地獄」なんていう境遇で仕事をしていれば

旅の無事を祈るのは当たり前のこと、特に川筋をお守りいただける

水神様には、きっと随分お世話になっていたのではないかと、

今も運送業を家業とする身には、この水神様は避けては通れない

有難い神様なのでございます。

(本社大神輿は4年に一度の渡御)

今は浅草を根城に仕事を行っておりますが、

我が家のご先祖が活躍していたよりはるか昔から

隅田川の総鎮守として崇められて居た神様が、

速秋津日子神 速秋津比賣神

鳥之石楠船神 大楫木戸姫神  

(配祀)水波之賣神 御井鳴雷神

なんだか舌を噛みそうなお名前でございますが、

そのお名前を知らなくても

一心に手を合わせてお願い申し上げると神様は

お聞き届けてくださるというのが日本の神様の有難い

ところなのでございますよ。

その創建ははるか鎌倉時代の源 頼朝にまで遡るのだとか、

関東には倭健尊伝説のように、嵐に遭遇したところを

無事乗り越えることが出来たという言い伝えが

各所に残されているのですが、こちらの水神様にも

頼朝が暴風雨に合い、祈願したという伝説が残されて

いるのですよ。

多分、その当時は、この辺りは古隅田川の海に注ぎ込む

河口だったらしく

こちらの水神様が浮島のような小高い場所に鎮座されて

いたのかもしれません。

浅草の待乳山とは川を挟んで対岸にこの水神様があったため、

船で行き来する人々は旅の無事を祈っていたのでしょうね。

下町独特の狭い路地いっぱいに人が溢れかえっています、

お囃子を先頭に中神輿がやってきます。

宮入りは隅田川神社ではなく、路地の奥にある水神社の

境内で行われるのです。

三区から四区に渡った中神輿は最後の神輿振りに歓声をあげ

今年も素晴らしい宮入りになりました。

皆さんの笑顔に西日があたりキラキラしていた祭りの醍醐味を

感じながら次の祭りへ参りますよ。

(2017年6月記す)