「おじさん、カッパって本当にいるの?」

「ああ、いるよ、おじさんはねこの路地で何度も

 出会ったんだから・・・」

あれ、そこで笑ってるアナタ、信じてないのですね

子供に教えるのに、大人が信じていなくてどうして

伝えられますか。

ほら、あそこのおじさんも、そこで短冊書いてるおばさんも

みんな、この町じゃ昔から カッパは居るって信じてる人ばかりさ、

あのおじさんや、おばさんが子供の頃、その当時の大人たちが

「カッパは居るよ」って真剣に話してくれたんですよ、

だから、この町じゃみんな大人になっても夢を見ていられるんだよ。

いや、待てよ、もしかしたらあのおじさんもおばさんもカッパかも

しれませんよ。

笹の葉に短冊がぶら下がっているでしょ、

子供達の可愛いお願いが沢山ある中に、

ホラ、思わず噴出しちまうのがあるでしょ、

ここの大人たちがね、カッパに託したメッセージなんですよ、

まともな皆さんには 

「バカにするな」

なんていきり立つ人もおられるかもしれませんが

笑いのない世の中なんてここじゃ誰も求めちゃいないのですよ、

それじゃ短冊詠んでまいりますかね、

『皿割れて
 河童が被るベレー帽  晴代』

ほらあそこのオジサン、カッパなんですよ、

『横座り
 河童が妙に艶っぽい  孝子』

『願い事などなんにも無くて
 酒 酒 お酒と書いておく  俊亮』

『おいらの未来を教えておくれ
 なんでも知ってるお星様   湘風』

『明日天気になりますように
 君と夜空が見たいから  笑子』

『私の願いはどこまで届く
 七夕まつりの運試し  歌織』

『笹は上ほど願いが叶う
 そんな気がして背伸びする  延代』

『星に願いをかけてた若さ
 今となっては もうやめた  正子』

『てるてる坊主をいくつもつけて
 笹を見てよと 天の川  せつ子』

『古い女も七夕さまに
 こっそり秘めてる願いごと  和子』

『今年も元気な明るい街に
 ゆかた 駒下駄 カタコトと  夏美』

『文月七日の逢瀬のために
 愛のひととせ機を織る  重樹』

『夢を翼に私もしたい
 夜空のメルヘン 星の恋  健二』

『願い叶って話ができた
 星空うれしい亡母(はは)の顔  節子』

『都知事です
 スイートルーム屁の河童  和枝』

『屁の河童
 母の介護を決めている  水無月』

さあ、どうですか、カッパはちゃんとおりましたでしょ、

ウフフ!

(浅草合羽橋商店街 下町七夕まつりにて)