「おうっ!いい天気だね じっとしてるのモッタイナイじゃないか」

ちょいと出かけてくるよ と気楽に飛び出してごらんよ、

なに、仕事で出られないってか、

ほら昔、植木等さんが歌ってたじゃにか

『サラリ-マンは気楽な稼業ときたもんだ』ってね

どうせ会社のためなんて頑張ったって、歳とればお払い箱

「はい、定年です」

企業ほど冷たくて手を緩めないところはないでしょ、

だから、こちらから手を抜くんですよ、

「勤務評定が怖くて飯が食えるか」ってさ

仕事がなくなると人生終わったみたいになってないかい、

仕事(食うためと割り切る)なんて探せばなんだってあるんだよ、

安定、昇進、年金・・・

そればかり考えてるうちに確実に歳はとるわけで

気がつけば袋小路のどん詰まり

あれもやっておけばよかった、これだけはやっておくんだった

みんな後のまつりさ。

人間はさ過去にも生きられないし、未来にも生きられないのさ

生きているのは 「今(いま)」だけ、

だから生きてるうちにやらないと悔やんだまま人生終わっちまうよ

暢気に旅してるヤツに何がわかるか 

って言いたいのでしょ

毎日、自宅と会社の往復してるヤツに何が見えるのさ、

その自分で引いたレールから脱線してみなよ

「なんだ、オレひとり居なくても何にも変わりはしないんだ」

てことがわかるからさ、

それだけわかれば十分だろ、

人間に一番公平なものは何かって考えたことあるかい

「お金?」

水は低いほうへ流れるけど、お金は沢山あるほうへしか流れないのさ

無いところへは絶対に流れてこないからちっとも公平じゃないんだよ、

それじゃ何があるかって、たまには自分で考えてみなよ、

すっかり社会に飼いならされたあんたじゃ気づかないかもしれないがね。

一度しか云わないよ、

それは「時間」、

誰にとっても「時間」だけは公平なんだよ、

その公平な時間を何に使うかで人生が決まってしまうのさ。

一日は誰が使っても24時間、

仕事が8時間、睡眠が8時間は少し多いから6時間にすれば

残りは10時間、それだけあれば大抵のやりたいことはできるってこと、

旅をするっていうとすぐに二泊三日とか一週間とか考えてるんじゃないの

今の時代、新幹線はあるし、高速道路だってどこへでも繋がってるじゃないか

10時間あれば、京都までいって、一箇所だけ紅葉みて先斗町で美味いもの食べて

帰って来たって十分おつりがくるんだよ。

「そんな金どこにあるんだ」っていいたいの、

将来のために、老後のためにって溜め込んでどうするのさ、

オレだけは長生きする保証なんて何にもないのにさ、

もしかしたら、酔っ払いの運転する車に轢かれてお陀仏かもしれないじゃないか、

つまらない財産残して子供達がいがみ合うなんて話そこら中に散らばってるよ、

アタシの親父なんぞは、自分の好き勝手やって借金残して

逝っちまったけど、子供等はその借金今でも払い続けてるけど、

誰も親父のこと恨んじゃいないよ。

さあ、残り時間はどれくらいあるか誰もわからないけど、

その平等な時間を十分に使って生きてみなよ、

アタシはそれを旅に全部使っちまってるから何の悔いもないさ、

人生の一番つまらない生き方は

損得で生きること、

これもみんな旅から学んだこと、

旅先には、とんでもないオヤジや婆さんがいたりして

大抵のことには驚かなくなることだけは確かさ。

みんながこの国のあっちこっちを動き始めたら

この国はまた元気になるかもしれないじゃないか、

こんなことを考えられるのも旅先だからかもしれないがね・・・。