「あめの 日」

しろい きのこ

きいろい きのこ

あめの日

しづかな日

   『秋の瞳』より

「雨」

窓をあけて雨をみていると

なんにも要らないから

こうしておだやかなきもちでいたいとおもう

「雨の日」

雨が すきか

わたしはすきだ

うたを うたおう

「貧しき信徒」 より

八木重吉

平成29年10月26日、詩人八木重吉が亡くなって

90年目の秋です。

秋の雨に会うたびに、29年の彼の人生の中で

たった三つだけ残していった雨の詩を口ずさんでみる。

命の永くないことを知った彼が

秋の冷たい雨を それでも好きだと言い切っている

詩人の魂は、病んだ身体を乗り越えて叫び続けるのだろう・・・