日本中、どこの町でも、どこの村でも、そしてどんなに小さな集落

でも年に一度は祭りを行っているのです。

毎年繰り返される祭りが何のために行うのかはうまく

説明できなくても、みんなその意味は判っているのです。

なぜなら、古来から続いている祭りを、よほど理由、たとえば

大地震や、水害、火事、があろうとも祭りを途絶えさせることなど

しないからなんです。

尊い方を祀ることは、その地震や災害から身を守るために

効果があると信じてきたのです。

その尊い方が力を弱めないように、一年一度おもてなしをするのです、

神社に祀られているその尊い方に供物を奉じ、歌舞音曲をささげ、

ある時は神輿にお乗りいただき、自分たちの住む町の中にまで

巡っていただく、それこそが祭りの本質なんです。

多分、大昔は自分たちの狭い集落ごとに祭りが行われていたのでしょう、

祭とは、その時代を生きている人々がその時代に合った

やり方で次の世代へと申し送りしながら続いてきたのです、

いくら古老が

「そんなやり方はダメだ」

意見しても、祭りの形態は変わっていくものなんです、

その変わり方も、悪くなるように変えたいと思う者はいないのに

いつのまにか、変わってしまうという意味で祭りも生き物なんですね、

しかし、いくら神様に祈っても災害はやってくるんです、

なんども訪ねた石下の町、今は常総市と名を変え、そして鬼怒川の氾濫、

あれから一週間、

「天災だ 仕方あんめぇ」

盆踊りの宵に出会った婆ちゃんは片付けの手を休めることなくそう呟いた。

あきらめているのではない、また前を向いて生きる覚悟をみなぎらせている、

来年の夏も、きっと神輿はこの地を廻るだろう、

神様に五穀豊穣を願いながら・・・

石下の町に再び祭り囃子が響き渡り

美しく実った田畑が輝きだすことを信じております。

H24.09.17記す。