昔の自分が懐かしくなり

あの頃の街を歩いてみる

悩んだり、悔やんだりしたあの時

「夢なんかないよ」

と呟いたあの街で

取り戻せない時を想う

でもね あれから50年だよ

ショーウインドウに映る自分を

もうひとりの昔の自分が見つめるのさ

「そんなに落ちぶれちゃいないよ」

「夢なんか何も叶わなかったよ」

「そうやって、あの頃の心のままに生きているじゃないか」

過ぎていく時を悔やんだって何も残りやしないよ

夢はね 消えていく刻の向こうへ置いておくだけでいいのさ

時々ね その夢のかけらをそっと見つめられたら

また 前を向いて歩いていけるからさ

50年経って 同じ街を歩いている自分を想像したことが

あったかい

案外、いい気分だよ

歩いていることが 幸せだと感じることができるからね

今はね 虚しいなんて想わないことさ

人生のずーっと後で

「夢は持つことが大事だったんだ」

と必ず気づくからね

そこの彼女

悩んだ後はね 苦笑いひとつでやり過ごすことさ

街の明かりはいつか必ず君を照らし出すからさ

夢が叶わなかったから不幸だった

なんて、50年も生きてみれば大したことじゃなかった

って思えるのさ

そのことを教えてくれるのが刻の移ろいなんだね

過ぎてしまった刻はね夢と同じなのかもしれないよ

誰にも平等にやってきて平等に過ぎていくのだからね

さてと もうひとまわりしてみるかな

夢の欠片が落ちているかもしれないからね・・・