秋も深まり朝夕はめっきり冷え込む様に

なりました、

ボジョレー・ヌーボーも解禁になり、

グラスを傾けたのも束の間、

もう熱燗の恋しい季節、お酒のCMを見るたびに

お元気だろうかと思い出しては噂を致しておりました。

もうそちらでは、山に雪が舞ったとか、

カサコソと落ち葉踏みしめる音を

秋の歌声のように聞きながら

さぞ詩人の魂を揺すられていることと

想像しております。

そちらの錦秋の彩には足元にも及びませんが、

それでも都会の秋も少し色づき始めておりますよ。

このところすっかり都会の中に埋没してしまい、

中々抜け出せないでおります、

あの森の爽やかな風に吹かれた想い出は、

都会の中では惚れ薬を嗅がされて無理やり足かせを

附けられているようで、精神の拷問に掛けられている気分で

都会のビルの隙間から空ばかりを眺めて

は気を紛らわせております。

先日贈っていただいた秋そのものの味は、

お腹より心に沁みました、

あの日のことを思い出しながら噛み締めるように

味わっております。

いつものことながら、想い出を昨日のことのように目の前に

浮かび上がらせてしまうアナタの優しさにそっと涙を拭いて

しまいました。

一周忌をひとりで迎えたアナタの気持ちを想うと

胸が苦しくなりますが、

それでも明るく前を向いて歩き出されたことを、

とても嬉しく受け取っています。

せめて話を聞くことしかできませんが、美味しいワインを持って

山のあの場所を訪ねます。

愚痴でもいい、生きる希望が叶うなら、じっと聞き役になれる

気がしていますから。

まもなく二度目の冬がやってきます、

もう後ろを振り向かないでください、

「目を瞑ればいつでも会える」

と言ったあの言葉を信じてくださいね、

またお目にかかれる日を楽しみにしております。

アナタを思い出すたびに都会の夕暮れが美しく

感じられています。