「夕ぐれに ながめ見わたす すみだ河
つきにふぜいの まつちやま
ほあげたふねが 見ゆるぞえ
あれ鳥が鳴く とりの名の
みやこに名所があるわいな」
小唄の師匠だったオフクロがよく口ずさんでいた唄を
唄いながらいつもの通り浅草散歩でございます。
まだ寒の内のはず、数日続いていた寒さも
一段落したようなポカポカ陽気に散歩の足も
軽やか、口も滑らかになるものでございますな。
くわんのんさまに手を合わせひょいと見れば
あれ、まだ正月飾りがございますよ。
江戸っ子気が短い人種でございますが、
正月気分くらいは長くったっていいもんですよ
振り向けば何やら華やいでいるじゃないですか
近頃巷に流行しもの、異人さん方の和服姿、
くわんのんさまの御前で 「ハイ ポーズ!」
いやいやどちらの国の方々でも、
みなさん笑顔でございますよ。
「オ・メ・デ・ト・ウ!!」
と思わず声を掛けてしまうと、
みなさんがニッコリ微笑んでくださった。
くわんのんさまだって心から
祝福してくださいますよ。
「おまへと一生暮らすなら
深山のおくのわびすまい
柴刈る手わざ糸車
細谷川の布さらし
ぬい針し事 いとやせん」
などと、若いカップルに唄ってみたが
江戸端唄じゃ通じなかったか、
ザンネン!
それにしても他人様の幸せ事とは
いいもんじゃないですかね。
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