春の嵐のような夜来の雨はなかなか止む気配を
みせない、仕事とあっては仕方ない、横殴りの雨の中を
役所の説明会に出席する。
お役人様の歯切れの悪い説明に奥歯を噛み締めて
眠気と戦いながらの二時間は
「全く拷問にあっているようだ!」
などと呟きながらビルの外へ出ると、
なんということか雨雲はすっかり流れ去り抜けるような
青空の下で東京の桜が咲き競っている。
開花から二週間が過ぎているのによく頑張っているな、
「よし、このままさくら散歩だ!」
市ヶ谷駅に背を向けて歩き出す、
ソメイヨシノの満開は、実はたった一日なんですよ、
「今日がラストチャンスですな」
この道は東京の桜ロードの王道なのですよ、
陽の伸びた春の夕暮れ前、まだ青空から透き通る光が
桜を浮き上がらせてくれておりますよ。
仕事帰りの女性陣はすでにハイ状態らしく、すれ違う三人組の
話し声が2オクターブほど上ずっている。
いいんですよ、みんな満開の桜に酔ってしまったのですからね。
靖国神社の杜は桜が咲き乱れていますよ。
それにしても、さくらを国家に命を捧げる象徴にする替えたのは
誰だったのでしょうかね。
一斉に咲いて、パット散ることがいさぎいいなどと考えたのはね・・・
遠くから手を合わせて千鳥が淵へ。
凄い人並みですよ、
「一方通行です、途中で立ち止まらないでください」
って、さくらをじっくり観る事も出来ないわけで
どえらいさくら散歩でごじますよ。
どこかで、同じような経験をしたことを思い出してみると
そうそう、丸の内のミレナリオと両国の花火
立ち止まると怒られましたな。
途中で戻るわけにもいかず、大勢の人の群れのなかで
黙々と歩くというのは、散歩とはいいませんですな。
やっと群れから抜け出した時は、身もこころもへとへと
東京の桜散歩はなんと疲れるものかな。
さてと、何処で腹こしらえするかな、
さくらを見ながらの会食など夢のまた夢
地下鉄に揺られて浅草に戻ってまいりました。
やっと落ち着きを取り戻した東京桜散歩でございます。
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